2011年12月号
私もそうですが、歯ぎしりは人から指摘されないと全く気付かないことが多いです。
寝ている時に歯ぎしりをしているかどうかは、自分で確認しなくとも歯科医院では歯を見ればある程度予測ができます。
次に、歯ぎしりをしているかどうか見分けるポイントですが、それは、歯と歯が強く擦れ合う時のすり減り具合をみることです。歯ぎしりが激しい場合は、通常のすり減り以上の変化が見つかることも多く、びっくりするくらいアゴを動かして歯ぎしりをしている場合もあります。
歯ぎしりには、次のようにいくつかの種類があります。
このように歯ぎしりは無意識で行われるため、力の加減ができないので、歯や歯周組織に負担をかけやすく、様々なトラブルの原因ともなります。さらに、噛み合せのバランスで特定の歯に歯ぎしりの力が集中することも多く、虫歯や歯周病など様々な病状の進行を加速させます。
では、何故歯ぎしりをするのか?と思われる方も多いでしょうが、原因は今のところ不明です。また、効果的に歯ぎしりをなくすことはできないと考えられており、簡単に止める手立てはないようです。
そこで、当医院では治療法として、歯の負担を軽減するために、噛み合せの調整やマウスピースを就寝中に装着してもらうことがあります。
このように、歯ぎしりが起こっても歯にダメージを与えないようにすることが大切です。
次回のQは・・・・
「虫歯、歯周病予防のために食後すぐに歯磨きをしています」です。
参考資料 デンタルハイジーン 別冊 知っておきたい力のこと
<受付 田中由香>
2011年11月号
皆さんはアゴが痛くなったことはありませんか?
中には痛みはないけれど口の開閉時に音がする人もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、こういった症状があってもすぐに治るだろうと思ったり、あるいは何科を受診したらよいのかわからないので放っておかれる方が多いようです。
このように「顔・顎・首になんらかの痛みがある」「噛むときに使う筋肉がこる」「口が開きにくい」「口の開閉時に痛みを伴ったり、音がする」などの症状を顎関節症(がくかんせつしょう)と呼んでいます。
顎関節症の特徴は女性に多くみられ、特に多い年齢は10代後半~20代、ならびに40代~50代とされています。年齢とともに少なくなるので、自然に治ることがある疾患とも考えられています。
一方、顎関節は独特の構造をもち、身体の中で一番複雑な動きをしています。そのため、いざ問題が生じると治療する側の医師にとっても難しい問題となります。
原因としては
があげられますが、はっきりとした原因はいまだによくわかっていないというのが現状です。
世間で信じられている悪い咬みあわせや矯正治療で引き起こされるという説は疑問視されています。またその進行についても、自然に症状が消失することがあったり、頑固な耐えがたい痛みが長引いたりとわからない点がたくさんあります。
治療については、できるかぎり保存的で可逆的に(元に戻すことができる程度に)行うことが推奨されています。
保存的な治療とは顔、顎,関節の組織を侵襲せず、外科処置も行わないことで、可逆的とは顎や歯の構造・位置を元に戻せる程度にしか変化させないことを指します。
実際には、
もしも、アゴの違和感が長く続くときは一度歯科で診てもらいましょう。
次回のQは・・・・
「朝起きたらアゴがだるくて、何となく歯が痛む気がするけど・・・これって歯ぎしり!?」です。
参考文献 TMD Year Book 2011
<歯科衛生士 南奈保子>
2011年10月号
皆さんの中でも口内炎がよくできる方がいらっしゃると思います。
私の知人にも口内炎がよくできる人がいますが、たいていすぐに治るからいいや、と放っています。確かに、いわゆる口内炎であれば1~2週間で放っておいても治りますが、そうでない場合もあるので要注意です。
まず、口内炎とは口唇・舌・頬・歯肉などの口の粘膜に起こる炎症を総称して「口内炎」と呼びます。口内炎にはいくつか種類があり、アフタ性・細菌性・ウイルス性などいろいろあり、症状や原因も様々です。皆さんが「口内炎」と思っているもので一番多いのは「アフタ性口内炎」です。
このアフタ性口内炎の特徴として発生頻度が高く、全人口の約20%の人が経験しているといわれています。口内炎の表面は黄白色の苔で覆われ、周りには発赤した領域が見られます。通常、痕を残すことなく1~2週間で治癒しますが、再発を繰り返します。20~30歳代の若い方に多く、高齢者では減少します。男女差はありません。
口内炎の発症には、ストレス・自己免疫・アレルギー・ウイルス感染など様々な要因が関わるとされていますが、詳細は不明です。
治療としては、疼痛を抑えるためにステロイド軟膏や貼付薬が処方されます。市販でも口内炎に効くとされている薬が売られています。
ただ、口内炎は「体調のバロメーター」といわれていますので、体調管理によってある程度の予防や軽減ができます。
など心がけましょう。
特に注意していただきたいのは口内炎でも皮膚疾患やまれにガンである場合があるので口の中であちらこちらと治りにくい口内炎ができた場合や、口内炎の下にしこりを伴い何カ月も治らないものなどは、一度歯科医院で診てもらいましょう。
次回のQは・・・・
「最近アゴが痛むけど、すぐに治るから放っておいてもいいでしょう?」です。
参考文献 デンタルハイジーン 2009(6)591~593
<歯科衛生士 神田和美>
2011年9月号
キシリトールというとイメージ的に非常に健康的で、口に関することなら何にでもよいと思ってしまいがちですがそうではありません。
その理由は次のように考えられます。
キシリトールは、虫歯菌によって分解されず、そのため酸が産生されないのでむし歯にならないというのが特徴です。砂糖入りのガムですと、砂糖が虫歯菌によって分解され、酸ができ、口腔内は酸性に傾きます。しかし、キシリトールガムの場合は、口腔内のpH(酸性度)は変化せず中性のままなのです。
一方 口臭は、口腔内のpHが中性からアルカリ性のときに、食物残渣・唾液・血液・口腔粘膜の剥離上皮などのタンパク質(含硫アミノ酸)が分解・腐敗することにより発生します。つまりpHを変化させないキシリトールガムでは、現在存在する口臭を消すことはできないということになります。
口臭のある患者さんに、各々のガムを噛んでもらって口臭の値がどう変化するかを実験すると、キシリトールガムを噛んだ場合に逆に口臭の値が少しだけ上がることがあります。これは舌苔中にこもっていた臭いの成分が、ガムを噛むことによってかき回されて発生するからです。
CMなどでは口臭予防にキシリトールと謳っていますが、多分そこまで理解して販売をしていないのではと思います。
では、どうすればよいかというと、砂糖入りガムを噛み、口腔内を酸性に傾かせれば口臭が抑えられるということになります。もちろん虫歯はできやすくなるので、とりあえず、今、口臭を消したいというときはこの手を使えばいいでしょう。
ところで、みなさんはこういうご経験はないでしょうか。
ある人と会って口臭のきつい人だなあと思っていても、食事をしだすと感じなくなる。
それは以下のように考えられます。食事をすると食物が舌の表面を通過する際に口臭の温床になっている舌苔をかき取っていくことと、食物の中の炭水化物が直ぐに分解され酸になり、口腔内のpHが酸性に傾くこと、これらによって口臭が抑えられるわけです。
次回のQは・・・・
「口内炎ができたけど、ほっておいっても治るから大丈夫?」です。
<院長>
2011年8月号
歯科で歯石をとった後に口をゆすぐと血が混じっていることってありませんか?
「もしかして、歯茎を傷つけられたのでは?」と感じるられるかもしれませんが、血が出るのは歯茎が炎症を起こしているからなのです。
まず、歯石とは何かを簡単にいうと、プラーク(=歯垢:細菌のかたまり)が唾液中のカルシウム分を吸収して石灰化したものです。歯を磨いてはいるけれど、プラークが十分に除去できておらず、それを長期間そのままにしておくとプラークが石のように固くなり、歯ブラシでは落とせなくなります。そうなると歯科で取ってもらうしかないのです。
歯石は軽石状に穴があいていて、これはプラーク中の細菌にとって格好のたまり場となります。この細菌によって歯石のまわりの歯茎が炎症で腫れ、歯と歯茎の間にすき間(ポケット)ができます。このすき間にプラークがたまり、固まって歯石になり、またすき間が広がりさらにプラークがたまり・・・と繰り返し、深く進行し歯周病が悪化してしまうのです。
このまま放っておくと、ついには何もしていなくても血や膿が出たり、歯がグラグラになって最終的には抜けてしまうこともあります。そこまで進行すると痛みも出てきます。
そのためスケーリングと呼ばれるプラークや歯石を取り除いて炎症をなくす治療をする必要があるのです。少し触るだけでも出血する脆弱な歯茎ですから、歯石を取るための金属製の器具をポケット内に挿入すると当然出血します。
当院では、ポケットの深いところにある歯石をとる場合は麻酔をして痛みを抑えながら専用の機械を用いて徹底的に歯石をとります。
しかし、歯科で定期的にケアを受けてプラークや歯石をとることも必要ですが、歯周病の予防には、日々の歯磨きが一番大切なのです。
毎日の丁寧なケアでプラークと歯石をためないお口にしていきましょう!!
次回のQは・・・・
「キシリトールガムを噛むと口臭が消える?」です。
参考文献 nico 2010 (1) p.26~27
<歯科衛生士 神田和美>
2011年7月号
昔からよくいわれていますが、これは迷信です。もしこれがほんとうなら、骨からもカルシウムが取られ、妊娠すると骨折しやすくなるということになります。
しかし実際妊娠すると、虫歯が増えたり歯周病が悪化したりすることがありますが、これはお口のケアの問題です。
妊娠中は唾液がネバネバしてくるので食べかすが残りやすくなります。また、つわりやお腹が圧迫されるために少量を何度にも分けて食べることが多くなり、結果的に口の中の細菌に絶え間なくエサを与えることになります。それに加え、つわりがあると吐きやすくなり、すっぱい物を好んで食べることも多くなるので、唾液が酸性になるため、口内環境が悪化しやすいというリスクがあります。またつわりがあると、歯磨きも億劫になりがちです。
さらに、もうひとつ!妊娠すると女性ホルモンのエストロゲンの分泌が増えます。歯周病菌はエストロゲンをエサにして増殖するため歯周病が悪化するのはもちろん、歯周病菌の毒素が母体の血液を介して子宮内感染を起こし、早産や低体重児出産の危険性があることも明らかになってきています。» 歯周病9つのギモン
その対策としては、食べたらその都度歯を磨くか、出来ないときは水で口をゆすぐようにして下さい。
さらに普段から定期的に歯の健診を受け、妊娠前に治療をすませておくのが理想ですが、受けていない方は妊娠安定期に入ったら歯科を受診しましょう。
歯科での治療の際の、歯のエックス線は腹部から離れており、撮影時に鉛のエプロンを着用すれば、まず赤ちゃんに影響はありませんが、念のために妊娠していることを伝えて下さい。処方薬は抗生物質(抗菌剤)、鎮痛剤、消炎剤が一般的ですが、妊娠5~7か月の安定期に短期的服用するのであれば問題はないでしょう。しかしエックス線もお薬も、妊娠中にはなるべくなら避けたいところです。妊娠中に困ることのないように、できるだけ妊娠前に治療を済ませておきましょう。
次回のQは・・・・
「歯科で歯石をとったら血が出た、ヤブだぁー!?」です。
参考文献 nico 2011 3月号 p26-27
<歯科衛生士 堀井真麻>
2011年6月号
今日は「親知らず」についてお話させて頂きます。
みなさんの中には、親知らずが生えてきたが抜いた方が良いのか!?このまま放って置いて良いのか!?と悩んだ経験のある方は意外に多いのではないでしょうか?
実際、私も悩み、先生に相談し抜歯を決めた一人です。
しかし、抜歯にはなかなか勇気がいるものですよね。
親知らずが生えてきたからといって、必ずしも抜いた方が良いわけではないので、抜くべきかどうかの判断基準と、どのような場合に抜かなくてはならないかを紹介します。
では、まず最初に親知らずについて説明しましょう。
親知らずとは、主に思春期頃から生えてくる一番奥の歯で、最大上下・左右の四本が生える可能性があります。しかし、親知らずが存在しない人も約三割いると考えられており、必ずしも生えてくるとは限らない歯です。
しかし、生えてきた場合は一番最後に生えてくるため、生えるスペースが足りずに問題を起こすことが多いのです。正常に萌出しない場合、上の親知らずは外側に外れることが多く、下は斜め前方から水平に倒れることが多いです。(右図)
では、本題の親知らずを抜く判断基準とは何か?ということですが、親知らずを抜くか抜かないかは親知らずが歯としての働き(咬むこと)を正常にできるかどうかで判断できます。
そして
以上のような場合抜いた方が良いとされています。
よって、痛みもなく、咬み合わさる歯があり、ブラッシングも満足にでき、他の歯に影響を与えない状態であれば抜かずにそのままにして様子を見ることになりますが、このようなケースのほうが圧倒的に少ないです。しかしもし将来大臼歯が抜けた場合に備えてあえて親知らずを残しておくと、抜けた部位へ 自家歯牙移植 をするときのドナーとして利用することが可能です。
みなさんも親知らずが気になる場合は早めに歯科医院でレントゲンを撮り、チェックしてもらいましょう。
次回のQは・・・
「出産すると歯が悪くなるのは赤ちゃんにカルシウムをあげちゃうから?」 です。
<受付 田中由香>
2011年5月号
最近は健康・エコブームで自転車の人気が急上昇し、自転車通勤をする方が増えています。
その中でロードバイクというロードレース用の自転車にカッコよく乗っている方をよく見かけます。このロードバイクは車体重量が10kgもないものが多く、5,60kgの体重と比較すると、身体だけが走っていると言っても過言ではありません。車体が軽い分ちょっとペダルを踏むと時速30~40kmはすぐに出せるので、事故の時の身体へのダメージは甚大です。
また、反対にもしあなたが自動車を運転している側だとしたら、バックミラーにロードバイクが映れば要注意です。普通の自転車よりずっと速いので、まだ遠くにいると思っていてもいきなり横まで来ていてヒヤッとすることになります。ロードバイクでは、多くはトウクリップでペダルに足を固定していますが、この場合、転倒した時足がペダルからはずれないので、車道側へ倒れることもあります。これは、ドライバーにとって非常に怖いことです。
本来、ロードバイクは、競走用の自転車であるため、歩行者や自動車と同じ道で走るのは危険で、山の中など人や車の通っていないところで乗るものです。
また、ブレーキなしのピステ用自転車(競輪のように競技場で乗るタイプの自転車)に乗っている若者を時々、町で見かけるときがあります。こういった自転車に乗ることも街中ではスタイリッシュでカッコいいのですが、前後輪へのブレーキの設置は道交法で義務付けられているため、これは違法なのです。とっさの場合にブレーキなしでペダルを止めることにより停止することは、はっきり言って不可能です。
さらに最近3人乗りのママチャリが許可されよく見かけるようになりました。複数の子供を持つ、車に乗らないお母さんには重宝されていますが、この乗り物も安全であるとは思えず、なぜ許可されたのか不思議です。
前後に小さな子供を乗せていて事故になると3人ともけがをするのではないかと思います。また3人乗れるように車体は頑丈な作りになった分重くなり、3人分の体重も含めると全体で100kg近くになるでしょう。その状態で歩行者に当たったりするとひどいけがを負わせてしまい、加害者になってしまう可能性もあります。長年自転車に乗ってきた私ですが、3人乗り自転車に子供を乗せて走ろうとは思いません。
自転車に関して私には以前からちょっと気になっていたことがあります。朝チャリ通をしていると、車道を堂々と逆走してくる高校生が多数いて、危険な行為にムカッとします。自転車は車道を走るのが原則で、しかも左側通行です。それ以外に飲酒運転、並走、携帯・ヘッドホン等の禁止、夜間ライト点灯などのルールがあり、守らないと自分自身のみならず、他人にも危険が及ぶわけですから、ある程度の年齢になれば講習を受け、免許制にして罰則規定を設けた方がいいのではと思います。
現在、子供を後ろに乗せる時、ヘルメット着用が義務付けられていますが、自動車のシートベルトやバイクのヘルメット着用と同じように、自転車の運転者に対してもヘルメット着用を義務化するのはどうでしょうか。
また、保険に関しては、自動車には強制保険がありますが、自転車にはそういったものはありません。自転車といえども他人に怪我を負わせたり、命を奪ってしまったりということもあり得ます。私も20年前にマウンテンバイクを買ったときには自転車保険に入った覚えがあるのですが、いつの間にか保険会社から更新を言ってこなくなりそのうちに消滅したようです。現在自転車事故に特化した保険はないように思います。今後はこの方面も検討していく必要があります。
徒然に自転車に関する雑感を、自転車事故で怪我をした経験から危険という観点で書きましたが、皆さんは安全で楽しく自転車生活をお過ごし下さい。
次回より新しく「歯科 ウソ&ホント」シリーズをお届けいたします。第1回目のテーマは「親知らずは必ず抜歯するのがよい?」です。ご期待下さい。なお取り上げてほしいテーマがございましたら、こちらへメールをお送りください。
<院長>
2011年4月号
こんにちは。
みなさんの中には、歯科医院へ定期的に通っている方もたくさんいらっしゃると思います。
しかし、どれだけ丁寧に歯磨きをしても次に歯科医院へ行ったときに「歯石」が付いていますと言われてしまうことはありませんか?
この「歯石」、じつは付きやすい人と付きにくい人がおられるのです。
今回は、歯石が付きやすい人・付きにくい人がいるのはなぜかということについてお話しましょう。
歯石はプラーク(歯垢)が石灰化したものです。唾液などに含まれるカルシウムやリン酸がプラーク内にリン酸カルシウムの結晶を形成することで起こります。
歯石形成の前には、まずプラークの付着が起こります。このプラークの基質(微生物の間をうめている多糖体)にリン酸カルシウムの結晶の核が沈殿、この結晶が成長し、やがて細菌も石灰化して歯石の一部になるわけです。いきなり歯石ができるのではありません。
結晶成分であるリン酸カルシウムの供給源は縁上歯石では主に唾液から、縁下歯石では歯肉溝滲出液や感染した歯周組織からの滲出液です。
つまり、歯石の形成と沈着にはプラークの存在、唾液の組成や性状などが深く関わっているということです。
一般的に歯石沈着の多い人の特徴は
といわれています。
これらの要素はリン酸カルシウムの沈着につながると考えられています。
ですから、唾液の組成や性状で歯石の付きやすい人・付きにくい人に分かれるのです。
「私は歯石が付きやすいから」と諦めるのではなく、歯磨きを丁寧に行うこと、特に歯石沈着は歯肉辺縁および隣接面から始まるので、デンタルフロス等で隣接面の歯垢を除去し、歯石沈着を予防して少しでも歯石が付きにくい口腔環境を作っていくことが大切です。
しかし、付いてしまった歯石は取り除く必要があります。定期的に歯科医院へ通って、私たち歯科衛生士にお任せ下さい。
参考文献 デンタルハイジーンVol.29 No8
<歯科衛生士 神田和美>
2011年3月号
日も長くなってきて、暖かく感じられる日が増えてきましたね。いよいよ春がやってきます。嬉しいはずの季節ですが、わたしにとって春はつらい季節です。春…それは「花粉症」の季節なのです。
このコラムを読んで下さっている方の中にも花粉症だという方はいらっしゃるのではないでしょうか。最近テレビで「2歳の子供が花粉症になった」という話を聞きました。小さい子供からお年寄りの方まで、日本では約30%の人が「花粉症」をもっているそうです。
花粉症の原因となる植物で有名なものは、スギ、ヒノキ、ムギ、ブタクサ などがありますが、それぞれの飛散時期は異なっていて、今の3月~5月にかけてはスギ・ヒノキ、5月~7月にはムギ(ホソムギ)、8月~11月にはブタクサが飛散するそうです。私自身もそうですが、やはり一番多いのは春に症状の出る「スギ・ヒノキ花粉症」の方ではないでしょうか。
症状が出ると本当につらいですよね!鼻が詰まり、拭いてもかんでも水道水のように鼻水が垂れてくる。くしゃみが止まらなくなって、それだけで体力を大幅に消耗して頭がボーっとして…。
そんな状態で、長時間口を開けて歯科の治療を受けるのはとてもつらいはずです。歯を削ったり歯石を取るのに水を使いますので、お口で呼吸していただくことができません。本当に溺れてしまいます。施術する側としても、何度も椅子を起こしてうがいしてもらったり、呼吸するために休憩してもらったりできないわけではありませんが、逆に余計に時間がかかってしまい、患者さんにとってしんどい時間を増やしてしまうことになってしまうので、大変申し訳なく思うのです。
花粉症をお持ちの皆さん!わざわざつらい時期にしんどい思いをする前に(もしくはこの季節が終わってから、来年のシーズンまでに)、歯科の治療を受けましょう!
そしてご来院の際には、皆さんの花粉症対策を是非教えてください!
<歯科衛生士 堀井真麻>
2011年2月号
前回で自転車事故によるケガの治療の話は終わりましたが、自転車にまつわるお話を少ししましょう。今までの歯科に関わる内容からは外れますが、どうぞ気楽にお読みください。
私は小学1,2年の頃から自転車での遠乗りが好きでした。中学時代は、サイクリング狂の友達に誘われ、住んでいた大阪市内から奈良、川西、箕面方面へよく日帰りサイクリングを楽しんでいたものです。高校からは山登り、ケイビング(洞窟探検)、クロスカントリースキーなどをしていましたが、結婚と同時にそれらはあっさりと止めてしまいました。
そして新婚旅行から帰ってきた日に、ちょうど第1回宮古島トライアスロン大会が開催されていました。そのTV中継を見たとき、それまでエンデュランススポーツをやってきた自分にとって、このスポーツは究極の男のスポーツだと感じたのです。そこで一念発起、一からスイミングスクールに通ってクロールで泳げるようになり、翌年第1回天橋立ミニトライアスロン大会でデビューを飾りました。そして、トライアスロンのクラブにも入会したのです。
その頃の記憶として、ランや自転車のトレーニングをかなり追い込んでした後、時々顎関節が痛くなることがありました。これは以下のような原因によると考えられます。
きつい運動をすると呼吸が苦しくなる>口呼吸をする>気道抵抗を少なくしようとして>下顎を前へ突き出す>その時働く外側翼突筋が過度に緊張し疲労する>顎関節部の痛みとなる。皆様も運動後にこのような症状を経験されたことはありませんか。下顎を前へ突き出すと呼吸がしやすくなるというのは、ショックを起こして意識がなくなったとき、患者さんの下顎を引いて呼吸を助けるのと同じ理屈です。
当時この情報をまとめて所属クラブの会報に報告しようと思っていたのですが、開業の準備等、仕事が忙しく、トレーニングもできなくなりレースへの復帰を諦めてしまいました。
開業4年後、時間のない中ちょっとでも運動をしようと、その頃流行っていたマウンテンバイクで自宅のある池田から曽根の医院まで、片道8kmの自転車通勤(通称チャリ通)を時々しました。今まで各種自転車に乗りましたが、町乗りをするには、マウンテンバイクが一番安全な自転車であると思います。当時は、まだ私も若かったので箕面や五月山のオフロードや積雪の中も走っていました。トレッドの深いタイヤを何度か張り替えましたが、14~5年でそのバイクは乗り潰してしまいました。
そこでもっと軽快にまたもっと遠くへ行きたい、しかしロードバイクほど細いタイヤやペダルに足を固定するのはもう怖い、というわけでクロスバイクに乗り換えることにしました。ロードバイクに乗っていた頃、よく足を延ばしていた能勢や高槻へまた行けることはもうないのではと思っていたので、再びその地に戻れたときは感無量でした。筋力、持久力の減少から以前より時間はかかりますが、充実感がありました。そのうえ自然の中を走っての、爽快感や開放感を感じました。 もちろん日々のストレスを発散するのにはもってこいでした。
マウンテンバイクとクロスバイクを比べると、後者は車体が軽いのでこぎ出しが楽で、直ぐにトップスピードにのれるということだろう思います。重いギアを回すより、軽めのギアを数多く回す方が、エネルギーを消費しやすく、脂肪をより効率よく燃やすのではないかと感じます。実際体重の減少や腹囲の減少はクロスバイクの方が大きかったです。
クロスバイクによるチャリ通を再開しましたが、大学時代の友人でトライアスロンに打ち込んでいるK先生に、「チャリ通は危ないで」と警告されていました。その理由はサイクリストばかりが集まるエリアでは皆ルールを守っているが、朝の通勤、通学時間はそうでない人が多いからです。そして彼の予言通り今回の事故に会ってしまったというわけです。
<院長>
2011年1月号
明けましておめでとうございます。
本年も当コラムをお読みいただいてありがとうございます。
2010年3月号の当コラムでお伝えしました歯槽提増大術を受けて3か月が経過しました。粘膜下につめてもらった骨補填材は新たにできた新生骨と一体になって、骨のボリュームが増えしっかりしました。そこで右下3番、左下2,3番を支台歯にして上の前歯と同じようにオールセラミッククラウンで抜けた3本の前歯を補綴してもらうことになりました。
ところが左下2番が元々唇側に倒れているので、3本の歯の平行性がかなり厳しい状況にあります。私なら左下2番だけは抜髄してブリッジにするところですが、M先生はすごいテクニックで3本とも神経を残したままで削ってくださいました。この削り方でなければ絶対無理という方法です。自分にはちょっとまねはできません。
ところで歯を削ってブリッジの支台にする時は、すべての支台を平行に削る必要があります。しかし完全に平行だとブリッジの内面と支台歯との摩擦が強すぎて、できたブリッジは入りません。かといってテーパーが強すぎると、すぐ外れてしまいます。
ではどれくらいのテーパーが適切かというと、普通6度のテーパーが一番維持力があるといわれています。
歯科医は機械で計測しながら削っているわけではなく、図のようにバーのテーパーをガイドにしながら削っているのです。きれいに削って、きっちり型を取り、上手な技工士さんに作ってもらう。これが補綴物を長持ちさせる術者サイドの秘訣でしょう。もちろん診断、基礎工事である前処置も重要です。そのあとは患者さんがどれくらいお手入れをされるかにかかっています。
また、神経を残したまま支台歯として使う方が、神経を取った歯を使うより断然ベターです。なぜなら神経を取るとしみることはありませんが、2009年9月号のコラムにありますようにいろいろ問題が出てくるからです。つまり神経を取る治療自体がなかなか100%成功というわけにいかなかったり、神経を取ると歯が弱くなったりします。最初は神経を取らず仮着にしておいて、もし、しみて我慢が出来ない状態になれば、あとで神経を取っても遅くはありません。
そしてやっとのことで上下ともオールセラミックのブリッジが完成しました。2年近くの長い道のりでした。 長々と専門的なことを書き続け、また内容が自虐的だとのご意見もありましたが、少しは歯科治療についてご理解いただけたのではないでしょうか。自分自身、歯科の患者となってみて初めて気づいたこともあり、貴重な体験ができたとプラスに考えています。また今後このような事故がないようにと祈っています。
<院長>
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