2012年12月号
皆さんはジェルタイプの歯磨き粉があることをご存知ですか?
電動歯ブラシをお使いの方はジェルタイプの歯磨き粉の方が適しているのをご存知でしたか?
電動歯ブラシは手用歯ブラシより擦れる回数が格段に多いので、同じ歯磨き粉を使うと含まれる研磨剤により歯が摩耗してしまいます。そのために、歯磨き粉は使わないか、研磨成分が入っていない液状の歯磨き粉(ジェルタイプ)をおすすめします。
そして、使用する際には、お口の中に入れてからスイッチを入れましょう。なぜなら、歯ブラシをお口の中に入れる前にスイッチを入れてしまうと振動によって歯磨き粉が飛び散ってしまうからです。
研磨剤なしで歯磨きを続けると歯が着色する場合があるので、研磨剤入りの歯磨き粉を使用したい場合はジェルタイプの歯磨き粉で磨いた後に仕上げとして、電動歯ブラシのスイッチを切って手用歯ブラシ同様に使うとよいでしょう。
また電動歯ブラシでは磨く時間が一般的に約2分と言われていますが、2分では磨き残しが多いので、歯を一本ずつ均等に時間をかけて、全体で5分ほどで磨いて頂く必要があります。
正しく電動歯ブラシを使って、しっかり歯磨きをしましょう。
参考文献 デンタルハイジーン2011 Vol 31 No11
次回のQは・・・・
「電動歯ブラシの方が手用歯ブラシより、よく汚れが取れる?」です。
<受付 田中由香>
2012年11月号
皆さんは、電動歯ブラシを使ったことはありますか?
最近は軽量化されたものやファッション性に優れたものなど様々な電動歯ブラシが出回っていますよね。
各種の電動歯ブラシには、それぞれに効率よく歯の汚れを落とすためのおすすめの使用方法があります。買って頂いた電動歯ブラシを有効に使って頂くためにも、使う前に一度は取扱い説明書を読んでみて下さい。
電動歯ブラシを初めて使う方で、間違いやすいのは持ち方です。
手用歯ブラシは手で細かく振動させるように動かすのがよいので、鉛筆を持つように軽やかに持って頂くことが大切です。
一方、電動歯ブラシは手用歯ブラシよりも持ち手が重く大きく、電動歯ブラシ自体が振動しますのでそれに負けないようにしっかり固定して持って頂くことが重要ですので、グッと握る感じで持って頂くのがおすすめです。
ただ力を入れ過ぎて強く歯面にあてすぎると毛先が広がり、刷掃効果が落ちるばかりでなく、歯肉を傷つけることにもなるので注意が必要です。
現在すでに電動歯ブラシを使われている方はご自分の磨き方を一度見直してみて下さい。
参考文献 デンタルハイジーン2011 Vol 31 No11
次回のQは・・・・
「電動歯ブラシの歯磨き粉は手用歯ブラシの歯磨き粉と同じで良いよね?」です。
<歯科衛生士 南奈保子>
2012年10月号
皆さんも「硬い食べ物を食べると歯や顎が強くなる」と聞いたことはありませんか?
私も幼い頃から母にスルメなどを噛んで歯を丈夫にしなさいと言われてきました。
硬い物をよく噛んで顎の骨や筋肉の成長を促すことは、確かに成長期の子供には必要です。
しかし、成長が終わった成人になると硬い物を噛むことは、顎に良いわけではなく、むしろ顎の筋肉を使いすぎて、肩こりや頭痛の原因になることもあります。例えば、硬いおせんべい、フランスパン、スルメ、ビーフジャーキーなどをよく食べる人、ガムをよく噛む人は注意が必要です。
また特に歯ぎしりやTCHのある方は顎の筋肉が強くなっているので、必要以上に強い力で咀嚼をする傾向にあります。
強く噛みすぎると歯に負担がかかり、咬耗(こうもう)、ヒビ、破折などを起こすだけでなく、歯茎にもダメージを与えることになるので気を付けてください。歯は骨と違って基本的には再生しません。力がかかればかかるほど壊れていく組織なのです。
昨今、「虫歯予防にキシリトールガムを噛む」や「認知症予防のためにはよく噛むようにする」などの噛むことによる健康情報は広く行き渡っていますが、咬み過ぎによる弊害はあまり知られていません。 では、歯をできるだけ長く健康に維持していくためには、どのようなことに注意して食事をすればよいのでしょうか。
このようにして頂くと必要以上の力がかからず、歯への負担が少ないと考えられます。
上記のことをできるだけ意識して、食事をしてみましょう。
参考文献 デンタルハイジーン別冊
知っておきたい「力」のこと 2010 63-66
次回のQは・・・・
「電動歯ブラシは手用歯ブラシと同じように鉛筆持ちで良いのですよね?」です。
<歯科衛生士 神田和美>
2012年9月号
みなさんは、歯科で麻酔の注射をされたのに、治療中痛かったというご経験はありませんか。実は、私自身、治療を受けた時そのような経験があります。
昔、歯科医が麻酔をしたのに効かなった場合、「あなたはアルコールに強いでしょう。」と患者さんの所為にすることがありましたが、これは間違いです。これは全身麻酔にまだ良い薬剤がなかった頃、アルコールに強いと、薬物代謝がよいので麻酔がすぐに切れると考えられていたときの話です。
今日は歯科における麻酔についてお話します。
まず麻酔には全身麻酔と局所麻酔があります。歯科で使う麻酔は後者で、注射を打った部位の神経に作用して、刺激の脳への伝達を遮断し、痛み、温度などの感覚を感じないようにしています。
ところで歯の解剖は図のようになっており、神経は歯の真ん中にある歯髄まで入っています。歯髄のまわりの象牙質は間接的に神経とつながっていて痛みを感じます。しかし歯の表面のエナメル質は神経とはつながっていないので、削っても痛みは感じません。たとえば歯を削る場合、痛みを感じる象牙質に注射ができればいいのですが、硬い象牙質には針が立ちませんので、軟組織である歯肉または歯根膜しか打つ場所はありません。
歯肉に麻酔の注射を打つと、麻酔薬は歯肉→歯槽骨→歯根の先の神経へと浸み込んでいき、麻酔が効きます。 そのため以下のようなケースでは麻酔が効きにくくなります。
このような理由で一般的に下顎の歯は上顎より、また特に下顎の臼歯は麻酔が効きにくいのです。また歯肉に炎症があり膿をもって腫れている場合などはさらに麻酔が効きにくいものです。
すべての症例において、きっちりと麻酔を効かすことができるのが名医かもしれませんが、たかが麻酔でも難しいケースがあることをご理解下さい。
次回のQは・・・・
「硬い食べ物を噛むと、歯が丈夫になる?」です。
<院長>
2012年8月号
入れ歯を作る際に歯科医院で保険と自費とどちらにするか聞かれたことはありませんか?
保険治療は国が定めた材料と技術の中で最善の治療をします。しかし、患者さんのお口の中の状況や生活環境・生活習慣・口腔習癖などを考えて最適と思われるものが自費治療になる場合があります。自費治療は使用する材料や入れ歯の製作方法も異なるので、保険治療に比べて概ね費用は高くなります。
まず、保険と自費の入れ歯の長所と短所をご説明します。
【長所】
【短所】
【長所】
【短所】
代表的な自費の入れ歯の使用金属の種類として次のものがあります。
このように保険と自費の入れ歯には、それぞれ特色があり、よく考えてご自分にあった入れ歯を選択しましょう。
次回のQは・・・・
「歯科の麻酔が効きにくいのは、アルコールに強いから?」です。
<歯科衛生士 南奈保子>
2012年7月号
個人差はありますが、約一か月かかります。
義歯を旅行などに行って忘れて帰ったり、どこに置いたかわからなくなり失くしてしまったりして、急に新しい義歯が必要になる方が、まれにいらっしゃいますので、今回は義歯が出来るまでを説明させて頂きます。
義歯が出来るまで一か月かかるのは長すぎると思われるかもしれませんが、下記の工程があるので一か月以上かかる場合もあります。
簡単な流れとして
義歯が完成後、すぐにお口に合うとは限らないので、何度も来院していただき、調整をします。
その調整は一回、二回で終わらない場合もあり、義歯がお口によりぴったり合うようになるまで行います。
時々以前に義歯を作ったときの型で直ぐに作ってくれとおっしゃる方がおられますが、義歯を作る時に使う石膏の型は、製作の最終段階で割って義歯を掘り起こして取り出すので、その時点で、なくなってしまっています。また歯の位置、歯茎の形は刻々変化するので、昔の型では意味がありません。
また、義歯をなくした時のために、スペアの義歯を作っておいてほしいとおっしゃる方がときどきおられます。しかし、一つの型からは上記の理由で一つの義歯しか作れませんし、健康保険では同じ義歯を2つ作ることは認められていません。
さらに2回型をとって2つの義歯を作っても、全く同じものにはならないので、口に入れた感じも違ってくるでしょう。そのため使い勝手の良い方ばかりを使ってしまうので、いざもう一方を使うとなってもしっくり噛めないと思われます。
ご自分に合った義歯を歯科医師と作り、美味しく食事をしましょう。
次回のQは・・・・
「入れ歯を作ろうと思うけど、保険の入れ歯より自費の入れ歯の方がぴったり合うって本当?」です。
<歯科衛生士 田中由香>
2012年6月号
皆さんは唇を閉じると歯はどうなっていますか?
私は癖なのですが、唇を閉じているといつも上下の歯が接触しています。
こういう癖を「TCH」と言います。今回はこのTCHについてお話させて頂きます。
TCHとはTooth Contacting Habit(歯列接触癖)の略で、上下の歯を持続的に接触させる癖のことです。噛み締めやくいしばりのように、グッと強い力で噛まなくても、ただ上下の歯が軽く接触している程度でも筋肉の緊張や疲労が生じます。
噛み締めやくいしばりのときのように大きな力がかかるわけではないのですが、弱い力が持続的にかかるTCHは顎や歯にはよくないのです。昔小学生の頃、体育の時間「気を付け」の時は歯を合わせるように指導を受けましたが、これは歯にとってはよくないことだったのです。
ふつう、上下の歯は何もしていないときは接触しておらず、食事の時(噛んでいる時・嚥下する時)に接触するくらいです。このように一日の中でも本当に接触するのは短い時間なのですが、もし、その接触する時間が長くなれば、筋肉の緊張や疲労、顎関節への負担が増え、顎の疲労感、歯の違和感、口が開きにくい顎関節症など様々な症状に関わっている可能性が考えられています。
TCHの確認方法としては椅子に姿勢よく座り、軽く唇を閉じ、鼻で呼吸します、その時に上下の歯が接触しているかどうか確認して下さい。接触している人は要注意です。
このTCHを防ぐ方法としては、唇を閉じて上下の歯は離して、顔特に口の周囲の力を抜くというものです。食事の時以外は上下の歯が接触しないように徹底的に注意して下さい。
たとえば、パソコン、デスクワーク、炊事、裁縫などのときに無意識に行っていることが多いので、自分の目に付く場所にメモを貼り、意識できるようにしておくとよいと思います。これを徹底していくと、不必要に強くなった筋力を少しずつ低下させる効果があり、夜間の歯ぎしりの軽減の可能性や咀嚼中の筋力の使い方にもよい影響を及ぼすと考えられています。
もしかしたらTCHかな?と思われた方は集中している時などに上下の歯が接触していないかどうか確認してみて下さい。
気になることがありましたら、歯科医院で診てもらってください。
次回のQは・・・・
「入れ歯を失くしたけど、歯医者ではすぐに出来るよね!?」です。
<歯科衛生士 神田和美>
2012年5月号
歯がグラグラになる一番多い原因は、やはり歯周病です。歯周病が軽度の場合いきなり歯が揺れることはありませんが、長期間患い重症となった場合はグラグラになります(写真1)。虫歯の場合は、歯髄(しずい)に達する大きな虫歯で歯髄が死に、歯根膜炎になってしまった場合や、以前に抜髄(ばつずい)された歯が再度炎症を起こした場合などです(写真2)。また、歯根が外力や咬合力によって割れてしまった時もグラグラになります(写真3)。
ではグラグラの歯根のまわりはどのようになっているのでしょうか?
健康な歯根のまわりは0.1から0.2ミリくらいの厚さの歯根膜を介して、歯槽骨と歯根が結ばれています。レントゲン写真で見ると非常に細い黒い線としか映りません(写真4)。しかしグラグラになると歯根のまわりは不良肉芽(ふりょうにくげ)と呼ばれる脆弱(ぜいじゃく)な組織が取り囲んでいます。
勝手に歯が抜けると、歯だけが抜けて歯槽骨に強固に付着している不良肉芽は残ったままになります。そのためその部分には正常な骨ができず、肉芽のままになります。歯科医院で歯を抜くときは、抜歯のあと肉芽を完全に掻爬(そうは)するので元歯根があった歯槽骨の空間には、新鮮な血液が満たされ3ヵ月くらいで新しい骨に変わります。
歯の抜けた後の骨に直接処置を施すインプラント治療の場合は、特に正常な骨になっていることが重要です。
このように、勝手に抜けるのと違い、歯の健康上、歯科医院での抜歯は大切な処置なのです。
以上は病的な原因で歯がグラグラになった時の話ですが、乳歯の場合はグラグラになって自然に抜け次の永久歯に交代するのが基本です。しかし乳歯の横から永久歯が重なって生えてきた場合は歯科医院で抜いてもらうのがよいでしょう。
特に第二乳臼歯(前から数えて5番目の乳歯)は歯根が拡がっているため、歯冠だけが抜けて歯根が残ってしまう場合には、後に生えてくる永久歯に悪い影響を与えることもあり、注意が必要です。
次回のQは・・・・
「食事の時以外、上下の歯は噛み合っていないのが正常って本当!?」です。
<院長>
2012年4月号
フッ素には、色々な使い方があります。
大きく分けて二つあり、一つは全身応用法、もう一つは局所応用法です。歯科医院でのフッ素塗布は後者のなかの一つになります。
歯の表面から直接フッ素を作用させ、虫歯予防効果をはかる局所応用法について説明させて頂きます。
フッ素塗布とは
年に二回以上、歯科医師や歯科衛生士などが定期的に歯にフッ素を塗る方法です。この方法はフッ素を塗るだけで済むので、まだうがいのできない小さな乳幼児の乳歯の虫歯予防や、永久歯が生えたばかりの子供の虫歯予防、中年以降の 歯肉退縮(しにくたいしゅく) にともなう 根面う蝕(こんめんうしょく) 予防に最適です。
フッ素溶液による洗口とは
年齢的には、うがいが上手にできるようになれば可能で、永久歯に生え変わる4~5歳ごろから、永久歯の生えそろう15歳ごろまでが特に効果が高いといわれます。
やり方は、30秒~1分間、口に含んでうがいをし、洗口剤が口の中全体にいきわたるようにします。この方法の場合、歯ブラシが届きにくい部位にもその効果が期待できます。また歯を磨いた後に歯ブラシにつけて塗るジェルや歯に直接吹きかけるスプレーもあります。
フッ素入り歯磨き粉とは
最近、日本の歯磨き粉には80%くらいの製品にフッ素が配合されています。
では、どのように見分けたらよいでしょうか?
「フッ化物入り」と書いているものもありますが、書かれていない場合は成分表の欄に「モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)」「フッ化ナトリウム(NaF)」「フッ化第一スズ(SuF2)」などと表示されているものを選んで下さい。
フッ素を歯に取り込ませる方法は、このように一つではないのでご自身が続けやすいものを選んでみて下さい。フッ素は子供だけに効果があるものと考えがちですが、そうではなく、大人も上手に利用して強い歯を維持しましょう。
次回のQは・・・・
「グラグラの歯があるけど、勝手に抜けるまでほおっておいてもいいの?」です。
<受付 田中 由香>
2012年3月号
最近では、フッ素入りの歯磨き粉が主流ですが、みなさんはフッ素って何かご存知ですか?今日はフッ素とは何かについてお話させて頂きます。
まず、フッ素というと何か特別なもののように思われますが、土の中、海や川の水、大気などに広く存在し、実は私たちの身体にも微量に含まれ、歯や骨の発育に必要な元素とされています。
ちなみに塩25.9ppm、みそ0.9~11.7ppm、イワシ8.0~19.2ppm、地中280.0ppm 海水1.3ppm含まれています。(ppmとは100万分の1の割合を表す単位。例えば、ある物質1㎏中に1㎎のフッ素が含まれている場合、その物質のフッ素濃度は1ppmとなる)我々は毎日食べ物や緑茶などの飲み物からフッ素を取り入れています。
しかし、それだけでは虫歯予防には十分ではありません。
そこでフッ化物洗口やフッ素入り歯磨き粉、歯科医院での塗布などが推奨されています。
では、「なぜフッ素で虫歯が予防できるのか!?」をご説明します。
以上の1→2→3で初期の虫歯なら再石灰化ができます。
市販の歯磨き粉でもフッ素入りのものが多くあります。
フッ化物洗口やフッ素塗布について、歯科医院で気軽に聞いて頂けたらと思います。
次回のQは・・・・
「フッ素は歯科医院でしか塗布できないのですか?」です。
<歯科衛生士 南 奈保子>
2012年2月号
集中したときなどに、無意識のうちに歯をくいしばることも歯ぎしりの一つです。
みなさんも集中すると何か癖が出てしまうことはありませんか?
私は集中するといつも歯をくいしばってしまいます。
前々回のコラムで歯ぎしりにいくつかの種類があると紹介させて頂きましたが、今回は音の鳴らない歯ぎしりについて説明させて頂きますね。
心身にストレスがかかって緊張すると、顎を動かす筋肉も緊張し歯ぎしりを引き起こします。この筋肉の緊張では、歯にも強い圧力がかかります。一般に歯は大きな圧力に耐えられる組織ですが、上下の歯が長く接触し続ける持続的な力には弱いのです。
ふつう、上下の歯が接触している時間は一日合計しても、わずか十分程度です。ですからほとんどの時間は接触していないといえます。それなのにストレスにさらされて何十分も噛み締めていれば、その力を受け止める組織に負担がかかります。ましてやそれが習慣となると、いろいろな困った症状が起こってきます。たとえば、冷たい水がしみる知覚過敏、歯にひびが入ったり、割れたり、歯周病が悪化したり、さらに顎関節に力がかかると顎関節症にもなります。
上下の歯を強く噛み合せて顎をずらすと音がなります。これは前々回に紹介させて頂いたグラインディングです。一方、歯を噛み締めたまま、ずらさない場合もあります。ずらさないので音はしませんが、これを「クレンチング(無意識のくいしばり)」といいます。
やっかいなことに、本人が気付かないでいると、歯を失ってしまう原因の一つになります。
クレンチングは、無意識でのことなので、なかなか気付けないのですが自己診断ポイントとして、次の項目をチェックしてみましょう。
以上の九項目中、三項目以上に該当すれば、クレンチングの可能性があります。
無意識に行っていることを自覚することは難しいかもしれませんが、その方法として緊張して何かに夢中になっている時にクレンチングしていないかどうか、ふっと手を休めて確かめて下さい。もし自覚されたり、気になることがあったりすれば歯や顎に異常がでていないか歯科で診てもらいましょう。
次回のQは・・・・
「フッ素を使うと本当に虫歯の予防になるの!?」です。
<歯科衛生士 神田和美>
2012年1月号
私が学生だった40年くらい前は、3-3-3で歯を磨きましょうと教えられていました。つまり1日3回、食後3分以内に、3分間歯磨きをという意味です。
現在ではこの中で正しいのは、1日3回の部分だけでしょう。その理由を説明する前に食事とプラーク中のpHの変化についてまず説明します。
何も食べていない時の口の中のpH は、ほぼ7で中性です。食事をして炭水化物が口の中に入ってくると、虫歯菌によって代謝され酸が生成されます。
そしてpHが下がり続けエナメル質が溶け出すpH5.5より低くなると、歯の表面からカルシウムやリン酸が、イオンとなってプラークや唾液中に溶け出します。それを脱灰(だっかい)とよび、食後3分位でpHがピークになるので、3分以内に歯を磨こうと言われていました。
その後は唾液の洗い流し作用、希釈作用、緩衝(かんしょう)作用などで自然にpHが回復し、pH5.5を越えるとカルシウムやリン酸が再び歯に沈着し、溶けた部分が修復されます。これを再石灰化(さいせっかいか)とよんでいます。
口の中ではたえずこの「脱灰と再石灰化」つまり「溶解と修復」のバランスで歯の健康が維持されているのです。また特に酸性の強い飲食物を摂取すると虫歯菌の作用を介さずその酸により、直接歯が溶かされてしまいます。酸蝕症の詳細はこちら
このように食後すぐの脱灰が進んでいる状態でゴシゴシ歯を磨いてしまうと、軟らかくなっている歯が削られてしまう危険性があるのです。
では歯磨きはいつするのが良いのでしょうか?それは、pHが自然に戻り再石灰化が始まる食後30~40分してからということになります。
それでは3分間の歯磨きはどうでしょうか? 全ての歯がそろっている方が手用の歯ブラシを使って歯磨きした場合、きっちり磨くにはやはり10から15分必要です。電動歯ブラシでも3分はやや短すぎると思います。患者さんへの歯磨き指導では、「1日3回いい加減に3分間より、1回でも完璧に10分間磨く方が、効果的です」とお伝えしています。
次回のQは・・・・
「音が鳴らない歯ぎしりもあるってホントですか?」です。
<院長>
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