院長・スタッフのコラム

2016年12月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その67

Q:インプラントが歯周病の重症化を防ぐって本当ですか?
A:.○ 歯を失った部分にインプラントを入れることで周囲の歯にかかる力を分散させ、残った大切な歯を守るのです。

歯周病治療において“プラークコントロール” (=プラークをしっかりと取り除き歯茎の炎症を抑えること)という言葉はよく耳にするキーワードかと思いますが、その次に重要視されているのが、“歯にかかる力のコントロール“です。歯周病で炎症のある歯は、過剰な力が加わると病状がより重症化する危険性がある上、仮に歯周病を一旦抑制できていたとしても炎症が再発した場合に急速な悪化を招きかねません。

特に歯周病が進行し何本かの歯を失っている方の場合、残った歯に集中して強い力がかかりやすくなります。そういったデリケートな状態の歯を、力の悪影響から守るには連結固定という方法があります。何本かの歯をワイヤーや接着剤で連結し、歯の動揺を防ぎ1本の歯にかかる力を分散させます。

もうひとつの方法はインプラント治療です。抜けた歯の代わりに、骨にしっかりと結合したインプラントが、周囲の歯にかかっていた負荷を肩代わりし、動揺を防ぎます。残った歯だけに頼らず、インプラントによって力の負荷を分散させることができるのです。

インプラントと聞くと、“手術が怖い・費用が高い・時間がかかる”といったイメージが先走りがちですが、空いた部分に歯を再建させるという役割だけでなく、周辺の歯を守り支える役割こそがインプラントの強みなのです。ただ歯周病が原因で歯が抜けたところはもともと骨が少ないので、手術の条件としては不利である、歯周病の既往のある方はインプラント周囲炎になりやすいなどといわれていますのできっちり歯周病をコントロールしてからインプラント治療をすべきです。

もちろん抜歯後の治療についてはインプラント以外にもブリッジや入れ歯といった治療法もあり、それぞれに特長があります。ご自身の生活習慣や口腔環境に合った治療法をお選び頂き、抜歯後の口腔内もより快適にしていただきたいものです。

次回のQは・・・・
「保険でも白い被せができるって本当ですか?」です。

<受付 和田 彩子>

2016年11月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その66

Q:生えたての赤ちゃんの歯に歯磨きは必要ですか?
A:.○ 一日に一回で良いので、歯磨きしてあげましょう。

赤ちゃんはまだ飴やチョコも食べないし、歯磨きしなくてもきっと大丈夫と思われている方も多いと思いますが、歯の表面や歯と歯の間には意外と汚れが溜まります。

とくに、哺乳瓶やマグが当たる前歯は注意が必要な場所です。砂糖だけでなく炭水化物全般が虫歯の原因になります。

本来、乳歯でも歯ブラシを使うのが基本ですが、赤ちゃんが動き回って歯磨きするのが難しいなら、歯と歯の間にホルダーについた糸ようじをさっと通して、あとはガーゼで拭いてあげるといいでしょう。奥歯が生えてきたらもうガーゼではダメで、歯ブラシでかみ合わせの面の溝もよく磨いてください。

また乳幼児の歯磨きで特に注意していただきたいのは、歯磨きをするときは必ず寝転がるか座ってする癖をつけることです。歯ブラシをくわえたまま歩き回り転倒して喉の奥を突いてしまうと一般歯科では対処できない重大な事故につながります。

おやつを食べるようになったからと、反抗期の2歳ごろより急に歯磨きを始めても、なかなか上手くいかず、歯磨きが嫌いになってしまうことも多いようです。そうならないためには、赤ちゃんの頃から歯磨きをして、お口の中を触られることに慣れさせておきましょう。そうすれば虫歯ゼロで成人を迎えることも夢ではありません。

小さな前歯が生えてきたら、一日に一度で良いので、歯磨きしてあげましょう!

次回のQは・・・・
「インプラントが歯周病の重症化を防ぐってほんとうですか?」です。

<歯科衛生士 小川 綾加>

2016年10月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その65

Q:お酒を飲みすぎると口が渇くって本当ですか?
A:.○ はい、本当です。

アルコールには利尿作用があり、アルコールの分解や排泄のために体内の水分が使われます。体内の水分が減ると唾液も減ってしまうので、お口の中が乾いてしまうのです。

一般に、慢性的に唾液の分泌が減少すると歯科的に色々な弊害が生じます。たとえば虫歯や歯周病が進みやすくなる、物が飲み込みにくい、口臭が強くなる、入れ歯が合いにくいなどがあげられます。一時的な飲酒による口渇(こうかつ)はアルコールが体から抜け、水分が補給されると元に戻りますが、その時、酒臭さに加えて唾液のもつ自浄作用が不足するので口臭も一時的に強くなります。また飲酒後歯磨きをせずそのまま寝てしまうと、いっそう口臭は強くなってしまいます。

アルコール以外にもカフェインが入ったコーヒー、紅茶にも利尿作用があります。口が渇くからといって水分補給にと思い、コーヒーをたくさん飲んでも逆効果なのでほどほどにしましょう。

またタバコのニコチンにも利尿作用が認められます。タバコを吸い過ぎると唾液が減少するうえ、免疫機能が低下するため歯周病が悪化したり、治療効果が上がらなかったりします。最近、歯科の分野ではタバコの歯周病やインプラント治療に対する弊害が強く叫ばれています。

このような嗜好品による唾液の減少は、それらを摂取しなければおこらないわけですので、どれもほどほどにされることをお勧めします。

次回のQは・・・・
「生えたての赤ちゃんの歯に歯磨きは必要ですか?」です。

<歯科衛生士 佐野 成美>

2016年9月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その64

Q:学校の歯科検診でOKだったから、歯医者には行かなくていいですよね?
A:△ 歯科医院で精密に検査し、歯磨き指導などを受けていただくとより安心です。

現在の学校歯科健康診断では、お子さんのお口の状態を3つに分けて診断しています。
(1)異常なし
(2)定期的観察が必要
(3)歯科医師による診断が必要

(3)の項目にチェックがある場合はみなさんお子さんを連れて歯科医院を受診されておられるかと思いますが、(2)の定期的観察は、具体的にどうすればいいのか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この項目にチェックがあるお子さんは、虫歯になりそうな歯があったり、軽い歯肉炎や歯磨き不足、噛み合わせ不良など、「今すぐ治療は必要ないが、放置すると進行してしまう問題を抱えている」ということで、何かしら改善すべき点があるということです。

例えば診断結果の紙でよく目にするのが初期虫歯(CO)です。虫歯はいきなり黒い穴ボコができるのではなく、初期の段階ではチョークのような白斑が現れます。歯科医院では初期虫歯は直ぐに削って詰めることはしません。これはご自宅でフッ素の入った歯磨き剤を使って丁寧に歯磨きをしたり、食生活に気をつけることで進行を止めることができます。さらに、上手に管理すれば、健全歯に戻ることもあります。

どの歯のどの部分にCOがあり、どのように改善していけばいいのか、ここはプロの手を借りましょう。是非お近くの歯科医院を受診してみてください。

余談になりますが、学校における歯科検診は、暗かったり、道具が揃っていなかったりして、設備の整った歯科医院での検診と違い、正確な診断には限界があります。そのため、虫歯なしとなっていても、歯科医院でよく診察すれば虫歯がある場合もあります。またその逆もあります。その意味でも、きっちり歯科医院で検診を受けていただくのがベターです。

歯科医師による精密な検査やエックス線検査を受けていただき、定期的に歯みがき指導やクリーニング、フッ素塗布を受けながら経過観察ができるとより安心です。大切な歯の健康を維持するためにも学校歯科検診を、自己管理や、定期検診をはじめるきっかけにして下さい。

鳥居歯科では優しい歯科衛生士が歯ブラシの選び方から正しい磨き方など丁寧に歯みがき指導を行っていますので、気軽にお電話ください。

次回のQは・・・・
「お酒を飲み過ぎると口が渇くって本当ですか?」です。

<歯科助手 福永沙織>

2016年8月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その63

Q:喫煙と歯周病って関係があるんですか?
A:○ 喫煙は歯周病の直接の原因ではありませんが、多くの悪い影響を及ぼします。

喫煙は各種のガン、心筋梗塞、喘息、動脈硬化、高血圧等々のリスクを高めることはよく知られています。口はタバコの煙の中の有害物質が直接触れる場所であるため、その影響は多岐にわたります。

喫煙によって歯周病は重症化しやすく、治療や予防の効果が上がりにくいうえ、外科治療後の回復も遅れるため、タバコを吸わない人に比べて歯を早く、多く失うことになります。また前号でお知らせしましたように、虫歯にもなりやすくなります。因みに歯周病になるリスクは、タバコの本数に比例し、毎日20本吸う人は吸わない人の4倍にもなるのです。

ではなぜタバコは歯周病に悪いのでしょうか。それは
1)タバコの有害物質によって免疫機能が障害され歯周病菌をやっつけられなくなる、
2)炎症や傷を治す修復機能が弱り回復が遅く治りにくくなる、
3)血管が収縮して血流が悪くなる 
からです。また最近の研究では歯周病菌自体がタバコの毒性の強い煙で弱くなるのではなく、より強く攻撃的になるそうです。

では実際のヘビースモーカーの患者さんの歯肉はどのような特徴があるのでしょうか。

歯肉は線維化(せんいか)し、潤いがなく硬く厚くなります。そのため出血もあまりみられません。ブヨブヨの触れば直ぐに出血するような歯肉もよくありませんが、硬すぎて出血しない歯肉もよくありません。

というのは歯周病の一番の自覚症状である歯肉からの出血がないため歯周病の発見が遅れ、気付かないうちに歯槽骨が吸収し重症化する危険があります。また非喫煙者の場合は治療とともに歯肉が引き締まり、歯周ポケットが浅くなって治療効果が上がっていきますが、喫煙者の場合は硬すぎて歯肉が引き締まっていかずポケットが浅くなりません。

患者さんの中には、タバコを吸われていないのに上記のような歯肉の方がおられます。よくお話を聞きますと何年も前にタバコはやめたとおっしゃいます。つまり残念なことに、禁煙しても歯肉の線維化はそうすぐにはもどらないということです。お口の健康のためにも、是非、禁煙をし、一連の歯周病の治療(歯磨き指導、歯石の除去等)を受けていただくことをお勧めします。

次回のQは・・・・
「学校の歯科検診でOKだったから、歯医者には行かなくていいですよね?」です。

<院長>

2016年7月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その62

Q:親の喫煙が子供の虫歯に影響するってほんとうですか?
A:○ 最近の研究ではタバコを吸う家庭のお子さんに虫歯が多いことがわかってきました。

初めてお聞きになる方も多いかと思いますが、最近の研究によりますと、家族が面前で喫煙する家庭の子供は、喫煙者がいない家庭の子供と比べると、3歳までに虫歯ができるリスクが2.14倍になります。また、虫歯になるリスクは、母親が喫煙していると2.3倍、父親が喫煙していると1.5倍になります。母親の方がリスクが高いのは、一般的に子供と接する時間が父親より長い傾向にあること、そして、母乳などを通じてたばこの有害物質が子供の体内に運ばれた可能性があることが考えられます。

では、タバコを吸う家庭の子供に虫歯が多いのはなぜでしょうか?

1. 親の口の中でタバコの刺激により悪玉化した虫歯菌が子供に感染してしまうため。
2. 子供の免疫力が受動喫煙により低下し、早い時期に虫歯菌に感染してしまうため。

また、仮説ではありますが

3. 歯が形成される乳幼児の時期にタバコに含まれるカドミウムや鉛が歯の形成を妨害し、エナメル質の結晶が十分に成長しない可能性がある。

という点も挙げられており、現在研究がすすめられています。

喫煙が、繊細で敏感な子供の歯に悪影響を与え、お口から健康を奪ってしまうとは本当に怖いことです。

鳥居歯科では、親子三代で定期検診へお越しいただいているご家庭の皆様も多くいらっしゃいますが、まだまだ、お父様・お母様だけもしくはお子様だけ受診されているというご家庭が多いのではないかと思います。

前述しましたように、虫歯菌は親御様からお子様のお口へ感染していき、虫歯ができてしまいます。お子様の虫歯予防のためにも、ぜひご家族そろっての定期検診の受診をおすすめします。お口の健康に関してご家族全員で意識を高めることで、大切なご家族の健康を守っていきたいものですね。

次回のQは・・・・
「喫煙と歯周病って関係があるんですか?」です。

<受付 和田 彩子>

2016年6月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その61

Q:フッ素で虫歯予防をするのは子どもだけでいいのよね?
A:× 大人もフッ素で虫歯予防をしましょう。

お子さんがフッ素で虫歯予防をすることは皆さんご存じだと思います。薬局などでもお子さんへフッ素を塗布するような商品が販売されていたりしますね。フッ素なんて子供のものと思っていませんか。しかし、お子さんだけでなく、大人もフッ素で虫歯予防が必要なのです。

若年者で虫歯の起こりやすい部位は、咬合面隣接面歯頸部 などですが、中高年の方にはそれらに加え、根面う蝕 があげられます。

一般的に中高年になると歯周病に罹患し、歯ぐきが下がる傾向にあります。

根面う蝕とは、歯ぐきがやせて、エナメル質よりも一段と軟らかく耐酸性が低い歯根のセメント質や象牙質が露出し、歯の根元に発生する虫歯のことです。歯ぐきのきわなので、詰めるのが難しく、放っておくと虫歯が進行し歯が折れてしまうこともある、やっかいな虫歯です。

歯頚部が全周囲虫歯に冒されると、浅い虫歯であっても レジン をきっちり充填するのが困難なため、歯冠部 がきれいなのに歯冠全体を削って冠を被せなければならないこともあります。

歯周病によって歯茎が下がった歯の根元には歯ブラシの毛先が届きにくいため、フッ素を作用させて根面う蝕を予防することが大切になってきます。

フッ素の利用方法として毎日フッ素配合の歯磨き粉を使うことはもちろんですが、フッ素ジェルやフッ素洗口液も合わせて使うことで更に効果が上がります。市販の歯磨き粉の多くはフッ素配合のものですので、簡単に虫歯予防を始めることができると思います。

フッ素ジェルやフッ素洗口液は歯科医院にも置いていますので、是非相談してみてください。また定期検診にお越しの際には、フッ素入りのジェルで歯を磨きあげる PMTC も行っております。

次回のQは・・・・
「親の喫煙が子供の虫歯に影響するってほんとうですか?」です。

<歯科衛生士 神田 和美>

2016年5月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その60

Q:神経を取った歯は弱いって聞いたけどほんとう?
A:○ 神経を取った歯というより、健康な歯質が少なくなっている歯は弱くなります。

皆さんの中には、虫歯などで神経を取る治療や、神経を取らずとも歯を大きく削って被せにした方もあると思います。虫歯になり細菌に汚染された神経や歯質をきれいに取り除くことは、抜歯せず歯を救うためにどうしても必要な治療なのです。

治療の痕がないきれいな歯は、よほどのことがない限り割れることはありません。

神経を取るとは、正しくは歯髄をとるということです。歯髄は神経だけでなく血管も含まれているので歯髄を取ってしまうと歯に水分や栄養が届かなくなり、徐々に枯れ木のような状態になっていきます。そして、神経をとったあとは、一般的には金属やプラスティックの心棒を入れて補強し、被せにすることが多いのですが、残っている歯質が少ないので破折のリスクを伴います。

そのため、出来る限り神経は残したいものですが、神経を取ったとしても健康な歯質が多く残っているうちにしっかりとした治療がしてあれば、そのまま長期的に使い続けることは十分に可能です。

ところが、虫歯が大きく広がった歯や治療を繰り返している歯などは破折のリスクが高くなってしまいます。こうした歯は虫歯や治療を繰り返すたびに、それまで入っていた詰め物や被せの周りを削り、それらをはずす必要があるため、健康な歯質がどんどん少なくなっていきます。そして噛む力によって疲労し、ついには疲労骨折のように歯根が破折してしまうことがあるのです。

削ったり、詰めたりした歯が元の歯より強くなるということはありません。治療痕のない天然歯が一番強いのです。

定期的にメンテナンスを受け、治療を繰り返さないで済むようにしていきたいものですね。

次回のQは・・・・
「フッ素で虫歯予防をするのは子どもだけでいいのよね?」です。

<歯科衛生士 小川 綾加>

2016年4月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その59

Q:奥歯2本の入れ歯が気持ち悪いので、もう入れなくていい?
A:× 必ず入れて下さい。入れないでいると、バネ(クラスプ)のかかっていた歯が動いてしまい、もうその入れ歯は入らなくなります。また、歯の抜けたスペースに、隣の歯やかみ合わせる歯が移動してきてかみ合わせも変わってしまいます。

永久歯において一番虫歯や歯周病になりやすく、その結果抜歯になるケースが多いのは第一大臼歯(前から6番目の歯)です。そして次に多いのは第2大臼歯(7番目の歯)です。その場合その後方にまっすぐに生えている親知らずがあればブリッジができる場合もありますが、多くの場合2本分の取り外しの 部分床義歯 の適応になります。因みに初めて入れる義歯はこの2本分の義歯が多いのです。抜けた歯がもっと多い大きな義歯の時は気持ち悪くても、食事に支障がでるため仕方なく使われるのですが、この2本分だけなら、なくても食事ができ、慣れるまでは義歯がないほうがご飯はおいしいかもしれません。そのため、折角作ったのに使わないでいる方がおられるのも事実です。

ではその義歯を使わないでいるとどうなるのでしょうか。水で湿った環境に置いておけば義歯自体の形が変わることはほとんどありませんが、バネ(クラスプ)のかかっている歯は少しでも移動すると痛くて全く義歯は入らなくなります。またそのままだと歯の抜けたスペースに、隣や義歯と咬み合う歯が移動してきて咬み合わせが変わってしまいます。この歯の移動は若い方ほど進みやすい傾向があります。歯列は歯がびっしり並んでいるので、強い咬合力を受け止められる構造になっています。部分的に歯を喪失すると均衡が崩れ空いたスペースへ歯は移動してしまうのです。ですから歯を失ったところへ義歯、ブリッジやインプラントなどを入れるのは、残りの歯を守る目的もあるのです。

もし歯が抜けて義歯になってしまった場合、義歯の調整が必要です。痛い部分がなくなるまで気長にご来院下さい。

次回のQは・・・・
「神経を取った歯は弱いって聞いたけど、本当ですか?」です。

<院長>

2016年3月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その58

Q:自分で歯石をとっているので歯医者さんのお口のおそうじには通わなくても大丈夫?
A:× 生兵法は大怪我の元です。プロの歯科衛生士におまかせください。

近頃、薬局やネット通販などで、自宅で使用できる歯石とり用の器具(スケーラー)を見かけたことはありませんか。1本1000~2000円ほどの手頃な価格で販売されており、一度購入すると何度も使えて経済的で、日々忙しく歯医者へ定期的に足を運べない方には一見とても便利なアイテムのように見えます。

しかし、自宅用スケーラーには思わぬ落とし穴があるのです。

それは、1)手鏡などを使用しても自分で見える範囲は限られていること、2)力加減や動かし方ひとつで、大切な歯まで削りかねないこと  です。

自宅用のスケーラーは刃先が太いうえ、狭い歯周ポケットの中や奥歯周辺は、自分でとることは大変難しい部分ですので、届かない・見えない部分は取り残してしまいます。また歯科医院では見えている歯石だけを取っているのではなく、ポケットの奥に隠れた汚れも取っており、こちらのほうが歯周治療では重要なのです。

さらに、デリケートな歯の根元の歯石を取るのには熟練が必要です。闇雲に素人がすると歯のエナメル質を削ってしまい傷がついた部分は、知覚過敏を起こしやすくなるほか、プラークの温床となって虫歯もできやすくなってしまうのです。素人の見よう見まねで行う歯石とりほど、かえって歯へのダメージが大きくなってしまう危険性があるのです。痛めてしまった歯を治療するとなった場合、治療費も通院にかかる時間も必要となります。セルフケアで傷めてしまった部分の治療費をかけなくて済むと思って、歯医者には定期的に足を運んでいただきたいと思います。

とりい歯科の定期クリーニングでは、担当衛生士がお口のおそうじをさせていただいた後、その都度ドクターによる検診を行っています。虫歯ができていた場合など早期に治療へ移ることができますし、お口に関する日頃のお悩みも相談していただきやすいかと思います。よりキレイで健康な歯を保つためにも、多少の費用はかかりますが、定期的なプロのクリーニングの受診をおすすめ致します。

次回のQは・・・・
「奥歯2本の入れ歯が気持ち悪いので、もう入れなくていい?」です。

<受付 和田 彩子>

2016年2月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その57

Q:歯周病菌が歯を支えている骨(歯槽骨)を食べるって本当?
A:× 「破骨細胞(はこつさいぼう)」という自分の体にいる細胞が食べています。

歯医者さんで、歯周病の説明の時に「歯を支えている骨が食べられています」と言われたことはありませんか。この場合、歯周病菌が実際に骨を食べていると勘違いされるかもしれませんが、それは間違いです。歯周病菌は骨食い細菌ではありません。

歯を支えている骨が溶けてなくなりつつあるとき、骨を食べているのは「破骨細胞」と呼ばれる、私たちの体にもともといる細胞です。骨はできてしまえば一見何も変化が起こらない組織のように見えますが、実は日々古い骨が無くなり(吸収)され、同時に新しい骨が作られ(添加)て、バランスを取りながらもとの形を維持しています。これを「リモデリング」といいます。

このリモデリングで古い骨を吸収する役割をしているのが「破骨細胞」です。どうして、歯周病菌が歯周ポケット内にいると骨が吸収されるのかということですが、これに関与しているのが歯周病菌から出た毒素です。歯周組織内にいる細胞は、歯周病菌から出た毒素をキャッチすると「悪い奴がきた!」という情報を発信し、これをきっかけに最終的に破骨細胞が登場して骨を食べるのです。

どうして自分の骨を食べるのかというと、おそらく歯周病菌という悪者から逃げるために勇気ある撤退をしていると考えられています。

これは歯周病菌が居すわり続け、炎症が続く限り歯が抜けるまで続きます。

歯科医院で歯周病の治療をしっかり受けて、歯と歯を支えている骨を守りましょう。

次回のQは・・・・
「自分で歯石をとっているので歯医者さんのお口のおそうじは通わなくても大丈夫?」です。

<歯科衛生士 神田 和美>

2016年1月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その56

Q:治療の途中で入れてもらった仮歯がけっこう気に入ったから、このままでもいいよね?
A:× 仮歯のままはだめです。

歯の治療途中に削った象牙質が汚染したり、しみたりしないように、また見映えを保つため仮歯を入れることがあります。ある程度形を整えて作っているので、そのままでいいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそのまま治療を中断しないで下さい。

もし、治療を中断してしまうとせっかく途中まで進めてきた治療を無駄にしてしまうだけでなく、場合によっては残せたはずの歯を失ってしまうこともあります。

仮歯をかぶせている歯は大きな虫歯があったり、あるいは折れてしまったりしたため、治療をしている歯です。この歯は仮歯をかぶせていないと象牙質がむき出しになり、細菌が侵入しさらに虫歯が進んでしまうため、仮歯で保護している状態です。

しかし、仮歯は長期使用を前提に作られていないので材質も軟らかなうえ、数か月もすると水分や汚れを吸収して変色、劣化し、さらに段々擦り減って小さくなります。本物の被せができたらはずす必要があるので軟らかいセメントでしか付けていません。

また、仮歯は、チェアサイドで応急的に製作するため、本物ほど精巧に作られていないので段差や隙間があります。長期間そのままでは食べかすや汚れで新たな虫歯や歯周病を引き起こす原因になります。

ですから、仮歯が気に入っていても、通院の手間と治療費を惜しまず、治療を最後まで続けて必ず本物の被せを入れてもらってください。

次回のQは・・・・
「歯周病菌が歯を支えている骨を食べるって本当?」です。

<歯科衛生士 小川 綾加>

あけましておめでとうございます
本年も当コラムをお読みいただきありがとうございます。
引き続きご愛読賜りますようよろしくお願い申しあげます。

  • お役立ち情報一覧
  • 歯科用語解説集
  • 院長・スタッフのコラム
  • 酸蝕症
  • 歯周病9つのギモン
  • 歯磨きの達人