院長・スタッフのコラム

2018年5月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その84

Q:口のねばつきや歯茎からの出血があって気になるけど、妊娠中は歯医者に行くのは控えたほうがいいですよね?
A:× 安全な出産のためにも口腔ケアはとても大切なので、安定期といわれる妊娠中期にプロの口腔ケアや必要な歯科治療を受けることをお勧めしています。

妊娠すると、「今までと同じように磨いているのに歯茎から出血する」「口の中がネバネバする」「歯垢が溜まりやすい」など、口腔内の変化を感じる妊婦さんが多くいらっしゃいます。

なぜこのような変化が起きるのでしょうか?それは妊娠により女性ホルモンの分泌が急激に増加し、歯周病菌が増殖しやすくなるからです。また、血管の壁がゆるくなって炎症性物質がもれやすく出血も起きやすくなります。その結果、歯肉炎が生じやすくなります。この妊娠性歯肉炎は妊婦さんの30%〜70%が発症しています。また唾液の粘り気が増すため、口腔内の自浄作用が低下し、歯垢がつきやすいと感じたり、お口のネバつきを感じたりします。

とはいっても、お口の中のことだし妊娠にまで影響あるの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、進行した歯周病が早産・低出生体重児出産のリスクを高めるといわれています。

歯周病菌が血流にのって子宮に達すると、子宮内に炎症が起きて胎児の発育不良が生じるリスクが高まり、また歯周組織の炎症により産生された炎症性物質が子宮の収縮を誘発することが、早産のリスクになるとも考えられています。

プロの口腔ケアや必要であれば歯科治療をうけていただき、お口の健康を維持することが、安全に元気な赤ちゃんを産むことにつながりますので、比較的体調が安定した妊娠中期に歯科検診を受けていただくことをお勧めしています。

ご自宅での口腔ケアも大切ですが、妊娠初期は特につわりがしんどく、時間をかけての歯磨きは難しいですよね。歯磨きは食後と決めずに、体調がいい時になさって構いません。歯ブラシはヘッドが小さいものを選び、下を向いて歯ブラシが舌にあたらないように磨くと嘔吐反射が減り楽に磨くことができます。お口のネバつきが気になるときは、デンタルリンス(洗口液)もお勧めです。

ご自身に合った口腔ケアで、楽しい妊婦ライフを過ごしてくださいね。

次回のQは・・・・
「酸蝕症ってめずらしいよね?」です。

<歯科助手 福永沙織>

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今月の合言葉は「妊娠性歯肉炎」です。

2018年4月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その83

Q:80歳の半数以上の方は20本以上の歯が残っている?
A:○ 平成28年歯科疾患実態調査が昨年厚労省より公表され、8020を達成した方の割合が推計値から初めて50%を超えました。

平成元年に日本歯科医師会と当時の厚生省は、「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という8020(ハチマルニイマル)運動を開始しました。20本の理由はそのぐらい歯が残っていると大体のものが食べられ、しっかり噛むことができるからです。その結果全身の栄養状態も良好になり、よく噛むことで脳が活性化され、認知症のリスクも軽減される研究成果がでています。その当時は女性の平均寿命が80歳になった時期で、さらに8020達成者の割合はわずか7%程度でした。

当時の厚生省は、8020達成者率を平成34年において50%にするという目標を掲げていました。そして今回の調査結果から、それが6年前倒しで達成されたことになります。

予想を覆す速さで目標が達成されたことは、歯科界、関係方面が推し進めた8020運動の国民への啓発活動の成果であろうと、手前味噌ながら感じざるを得ません。

私がまだ歯学部の学生であった40年ほど前は、55歳が定年であり、60歳くらいで、とりはずしの入れ歯を入れているという方は普通におられました。ところが最近は80歳代で歯が抜けても、まわりにしっかりした歯が残っているので、ブリッジを入れられる方がおられます。また60,70歳代でもこの先8020が十分達成できそうな方もたくさんおられます。30年前の開業当初では考えられなかったことです。

高齢になっても自分の歯がたくさん残っていて何でも食べられるということは、ほんとうにすばらしいことなのですが、残っているその歯は、虫歯にも歯周病にもなる可能性があり、若い方と同様に歯を削ったり、抜いたりの処置も必要となってくるのです。

ところが、高齢になると、高血圧、糖尿病、骨粗鬆症、心臓病など多数の全身的なリスクをお持ちの方も多くなります。その場合、外科的処置の多い歯科治療に際してはさらにリスクを伴うことになります。

いつまでも、大切な歯をいい状態で維持できるよう定期的にかかりつけの歯科医院に行き、健康寿命を延ばすためにも お口の健康を保ちましょう。

次回のQは・・・・
「口のねばつきや歯茎からの出血があって気になるけど、妊娠中は歯医者に行くのは控えたほうがいいですよね?」です。

<院長>

2018年3月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その82

Q:5歳の子どもが大人用のミント味の歯磨き粉でも平気なようです。このまま親子で同じ歯磨き粉を使い続けてもかまわないですよね?
A:× 大人と子どもの歯磨き粉の違いは、フレーバーの違いだけではありません。6歳未満のお子さんには必ず子ども用歯磨き粉を使用して下さい。

「大人と子どもの歯磨き粉の違いは?」と聞かれた際、多くの方は、大人向けのミント味では子どもが歯磨きを嫌がるため、ぶどうやいちご味といった“甘くておいしい”イメージのある子ども向けの味で作られている点を思い浮かべられるかと思います。

しかし大人と子どもで歯磨き剤が区別されているより重要な理由は、歯磨き剤に配合されているフッ素の濃度にあります。

現在フッ素配合歯磨き剤の国内シェア率は約90%といわれています。従来日本ではフッ素濃度の上限が1,000ppm以下と定められていましたが、平成27年3月より上限が1,500ppmと改定されました。これは虫歯予防先進国といわれるスウェーデンと同基準値であり、ほとんどの方が特に意識せずとも市販の歯磨き剤を使うだけで虫歯予防の恩恵を少なからず受けているといえます。

「虫歯予防の効果が高いのであれば子どもにも使わせたい」と思われる方もいらっしゃるかと思います。しかし、現在日本では6歳未満の高濃度フッ素歯磨き剤の使用は認められていません。(※子ども用歯磨き剤のフッ素濃度上限は600ppmです。)その理由は、6歳未満の年齢では、顎の骨のなかにある形成途中の永久歯に、過剰のフッ素が継続的に取り込まれることにより、萌出後の歯に白斑(斑状歯(はんじょうし))が現れる可能性があるためです。

エナメル質が完成する6歳以降では白斑の心配がないと考えられるため、大人用の歯磨き粉で問題ないとされていますが、フッ素配合歯磨き剤の使用目安は6歳以上~15歳未満は歯ブラシに1cm程度、15歳以上は2cm程度とされています。

お子さまの健康で綺麗な歯を守るためにも、大人用歯磨き粉は手の届かない場所へ保管し、お子さまの歯磨き粉の選び方や使用量には注意して頂きたいと思います。

次回のQは・・・・
「80歳の半数以上の方は20本以上の歯が残っている?」です。

<受付 和田彩子>

2018年2月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その81

Q:子供の歯の生え代わりが遅いけど個人差のあるものだし、放っておいても大丈夫ですよね?
A:× 余分な歯ができ永久歯が生えるのを邪魔していないか、顎の骨の中で永久歯がうまく育っているかなどを確認するためにレントゲンを撮ってよく調べてもらいましょう。

乳歯から永久歯への生え代わりはうまくいくのが当たり前だと思われがちですが、実は意外に油断できないことが明らかになっています。日本小児歯科学会の調査では、余分な歯が顎の中にでき、永久歯がきちんと生えるのを邪魔する「過剰歯(かじょうし)」は約30人に1人。生まれつき永久歯の数が足りない「先天性欠如歯(せんてんせいけつじょし)」のお子さんともなると約10人に1人いるというデータがあります。

どちらも先天的なもので原因は不明ですが、歯が育っていく過程で永久歯の芽が余分にできたり、できなかったり、途中で育たなくなったりして起こると考えられています。
永久歯の歯の芽(歯胚)は、お口の中にはまだ乳歯しか生えていない3歳頃には、顎の骨の中でおおよそ完成し、かなり正確な診断が可能です。
永久歯が下から生えてこない場合、乳歯は抜けすに残るので乳歯の虫歯予防がとても大切です。乳歯が早く抜けてしまったからといって、その年齢では大人の治療のようにブリッジやインプラントにすることはできません。定期的にメインテナンスを受けて大事に使っていけば、この乳歯を30歳、40歳と使い続ける事も夢ではありません。そこまでは乳歯にがんばってもらい、それから普通の永久歯の治療へもっていくことができればベストです。

お子さんの大切な永久歯の状態をなるべく早く知っておくためにも、小学校に入る前にはパノラマエックス線写真を一度撮ってもらいましょう。
ちなみにパノラマエックス線を撮影する場合の放射線量は約0.01mSvとされています。これは、私たちが宇宙や大地から受ける自然被ばく量(年間)の約200分の1、東京~ニューヨーク間を飛行機で往復する際の宇宙線からの被ばく量約0.2mSvの20分の1程度と考えると、被ばくの心配にはおよびません。
お子さんのレントゲンは、放射線量を減らして撮影しますし、防護エプロンをすればさらに被ばくを減らせるので、安心して検査へのご協力をお願いします。

次回のQは・・・・
「5歳の子供が大人用のミント味の歯磨き粉でも平気なようです。このまま親子で同じものを使い続けてもかまわないですよね?」です。

<歯科衛生士 小川綾加>

2018年1月号

「歯科 ウソ&ホント」シリーズ その80

Q:子供が転んで歯をぶつけたけど痛くないし、血も止まっているので歯医者に行かなくてもいいよね?
A:× 歯根や歯周組織、あごの骨、永久歯の芽といった見えない部分へのダメージはエックス線写真などを用いた専門家による検査が不可欠です。出血や痛みがない場合でも歯科医院を受診して検査を受けることをお勧めします。

お子さんが転んで歯をぶつけて「血がでている」「痛いと泣いている」という場合、保護者の方は迷いなく歯科を受診されると思いますが、そうではない場合「歯科医院に連れて行くほどのケガかな」と迷うこともあるようです。

ですが、実はこうしたケースこそ要注意です。血が出ていなくても歯の根っこ(歯根)や、歯の周りの組織(歯周組織)にダメージが及んでいることがありますし、しばらく時間が経ってから痛みが生じることもあります。痛くなくても数週間後に歯が黒っぽく変色してしまい驚かれるケースも多々あります。また歯が歯茎にめりこんでグラグラもしない場合のほうが、抜けてしまうより経過が悪くなることがあります。

また、お子さんが歯をぶつけて乳歯が抜けてしまったときに、「どうせ生え替わる乳歯だから歯科医院に行かなくてもいいかな」と考える親御さんもたまにいらっしゃるのですが、これは絶対にNGです。というのも、歯が抜けるほどのケガというのは相当な力が、歯と歯周組織にかかっています。そのため乳歯の奥で成長している永久歯の芽にダメージが及んでいることが多々あります。「乳歯が抜けた」というケガでは、そのあとに続く永久歯に数十%の確率で何らかの影響がでることが分かっているのです。

永久歯の芽である永久歯胚(しはい)は、お子さんの成長とともにだんだんと歯の形になっていきます。最初はゼリーのように柔らかく、徐々に硬くなっていくのですが、乳歯がまだ生えている時期の永久歯胚はチョークくらいの柔らかさです。ですから、ぶつけた乳歯が押し込まれて当たると簡単に変形してしまうのです。
歯根や歯周組織、あごの骨、永久歯胚といった見えない部分へのダメージはエックス線写真などを用いた専門家による検査が不可欠です。ですから、出血や痛みがない場合でも歯科医院を受診して検査を受けてもらえたらと思います。速やかに歯科医院を受診していただくとその分、治療がうまくいく可能性も高まります。小さい頃の乳歯のケガでも元気な永久歯に生え変わるまで定期的な検診をおすすめします。

次回のQは・・・・
「子供の歯の生えかわりが遅いけど、個人差のあるものだし、放っておいても大丈夫ですよね?」です。

<歯科衛生士 佐野 成美>

あけましておめでとうございます
本年も当コラムをお読みいただきありがとうございます。
引き続きご愛読賜りますようよろしくお願い申しあげます。

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