2025年2月号
取り外し式の入れ歯が出来上がるまではきちんと通院していた患者さんも入れ歯ができたからもういいや、と来院されなくなる患者さんもいらっしゃいます。しかし、入れ歯は作って終わりではなく出来上がってから何回か「調整」していくことが非常に大切です。
部分入れ歯は、被せ物や詰め物のように歯に固定されている修復物とは違い、付け外しができる装置です。なので、新しい入れ歯が入った直後は、
など、個人差はありますがこういった症状が起こります。
これらの症状は、部分入れ歯が被せ物や詰め物と違って、柔らかい歯ぐきや粘膜の上に乗る床(しょう)とよばれる赤いプラスティックや金属の部分がついていることによるものです。当然その分体積が大きく違和感のあるものになります。被せ物や詰め物は元の歯とほぼ同じ形や大きさをしているので、装着後あまり違和感はありません。
しかし、これらは入れ歯の調整を繰り返し行うことで改善し、使っているうちに体が慣れてそれに合わせた動きをしていくようになります。また、早く入れ歯に慣れるため入れた直後はやわらかい食べ物からゆっくり奥歯で噛む事を意識して徐々にかたいものを噛むようにしましょう。これは歯で噛むというよりも歯ぐきや粘膜で噛むという感覚です。そしてできるだけ長い時間お口に装着することで、上手く咀嚼や発音ができるようになり違和感もなくなっていきます。
入れ歯は食事をするためだけでなく残っているご自身の歯の負担を軽減したり、歯並びの乱れを防止したりする役割もあるので、できるだけ日中は装着するようにしましょう。そして就寝時には痛くなくても入れ歯は外して歯ぐきをしっかりと休めましょう。
また、入れ歯の清掃もしっかり行い、外しているときは変形を避けるために(乾燥すると割れてしまう可能性がある)入れ歯保存液や水の中で保存するようにしましょう。
入れ歯を作ったけれど痛くて合わない…と悩んでいる方も快適に使えるまで調整を受けることで改善しますので、少しでも違和感がある方は歯医者で診てもらうことをおすすめします。入れ歯を作ったのに全然使わないからとほうっておくと、残った歯が移動して次入れようと思った時痛くて全く入らないときもありますので、注意してください。
歯科助手 木下 彩
2025年1月号
歯ブラシだけで歯磨きをしっかりしていれば大丈夫と考えている方は少なくありません。厚労省やライオンの調査によれば、日常的にフロスや歯間ブラシを利用している方は3割程度となっています。しかし、歯ブラシだけでは歯を隅々まで綺麗にすることは不可能です。歯と歯のすき間・歯の裏側の根元まわりは歯ブラシでは磨きづらいポイントになります。今回は、フロスや歯間ブラシを使って歯ブラシでは難しい場所も綺麗にする方法を紹介していきます!
まず磨きにくいポイントとしてコンタクトポイントと言われている場所があります。隣り合った歯同士が接しているところです。こちらの清掃は単純に歯と歯の間にフロスを通していただければ綺麗にできます。フロスがきつくて通しづらい場合は、ワックス付きのフロスでのこぎりを引くようにすると通しやすくなります。
もう1つの磨きにくい場所がそれぞれの歯の根元周りです。フロスをコンタクトポイントに通してからそのまま根元周りまで持っていきます。歯肉の溝に糸をやさしく少しだけ入れてから歯の先端へ繰り返しフロスを動かしてください。歯の根元に沿わせることができているか確認しながら行いましょう。また、根元周りについては歯間ブラシを通すのも効果的です。歯と歯の間に押し込んだ後、歯の根元にブラシの毛先が当たるように傾けてから動かしましょう。
このようにフロス、歯間ブラシは歯ブラシでは綺麗にしにくい場所に効果的ではありますが、誤った使い方をすると歯肉が傷ついたり歯の根が削れたりしてしまいます。特に歯間乳頭という歯と歯の間の三角形の歯肉の盛り上がりに無理に通して傷付けてしまうと歯と歯の間にすき間ができてしまいます。歯間乳頭は非常にデリケートで、一旦下がってしまうとなかなか上がってきません。また歯間ブラシの芯は金属のワイヤーの場合が多いので、無理に通すと歯の根が削れることもあります。できれば使い始めは歯科医院で指導してもらうと誤って使うリスクを下げることができます!また歯間ブラシにはいろいろサイズがあるので、医師、歯科衛生士にどれを使うべきか相談するといいでしょう。既に使用されている方もご自分の使い方が歯や歯肉を傷付けていないかチェックしてもらってくださいね。
次回のQは・・・・
「初めて部分入れ歯を作りました。何回かの通院を経て完成しましたが、違和感があります。使っているうちに慣れるものでしょうか?」です。
受付 中村りこ
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