2025年4月号
乳歯の歯並びでは、歯と歯の隙間が歯列全体にみられることがあります。特に前歯の生えかわりが近くなると、顎の成長に伴い隙間がさらに大きくなることがあります。これは、乳歯よりも永久歯の方が大きく、生えかわりに十分なスペースを確保する必要があるからです。そのため、前歯の生えかわりの時期に隙間が無いと、永久歯が生えたときに叢生(そうせい)という隣り合う歯が重なり合ったり、歯がねじれた状態で生えてきたりとガタガタとした歯並びになる可能性があります。また、歯と歯のあいだの隙間がないと歯垢がたまりやすくなるため、永久歯よりも歯質が柔らかい乳歯は虫歯のリスクが高まります。
隙間がない原因として考えられるのは「顎の発育不足」で、根菜や歯ごたえのある食材を選び、よく噛んで食べることが大切です。したがって、乳歯の歯並びに隙間があったとしても、多くの場合心配する必要はありません。また、永久歯の前歯が生えてきてから前歯に隙間ができることがありますが、通常、両隣の永久歯が生えてくると消失します。
~このような時は注意が必要です!歯科医院で診てもらいましょう~
乳歯の歯並びにおける隙間は基本的には問題ありません。しかし、永久歯に生えかわった後、しばらくしても隙間が改善しないようであれば、一度歯科医院で診てもらうのがよいでしょう。
次回のQは・・・・
「歯がキーンとしみます。知覚過敏だと思うのですが、なぜしみるのですか?」です。
歯科衛生士 福井万緒
2025年3月号
以前は歯の詰め物や被せは、金属や金属の上にプラスティックやセラミックスを焼き付けた技工物が主流でした。それは鋳造という技術を使うので、加工しやすい金属が使われていました。。歯科の領域では取った型の上で技工士さんが手作りするアナログな方法が長年にわたって続けられてきました。ところが徐々にデジタル化が進み、削った歯の型をコンピューター上に取り込み、デザインし専用の機械で、セラミックスのブロックから削り出すCAD/CAMの技術が確立されてきています。健康のためなるべく体内に金属を入れないという流れの元、見た目もいい白いセラミックが使用されています。またレントゲンで見ると金属は真っ白に映るので、被せの内部によほど大きな虫歯がない限りわかりませんが、セラミックスの場合は透過性があるので、もし虫歯ができていても見つけることができます。
長く使用されてきた金属の詰め物や被せを治療のために外すことが時々あります。痛みもなく上から見ていて何も異常がないように見えていても、中が黒くなっていることをしばしば経験します。それはどうしても隙間ができてしまう金属というものの性質なのでしようがないと思っています。一方セラミックスは歯との引っ付き具合が金属より若干弱いようなので、時々外れてくることがありますが、歯の内部が黒くなっていることはまずありません。歯を削って装着された時の白い歯のままで、非常に信頼がおける治療方法になっています。
セラミックスが主流となってくるこれからの時代、以前と比べ、二次的な虫歯は少なくなっていくのではないかと思っています。
このような金属とセラミックスの違いは以下のように考えられています。食物の温度変化により、歯質も詰め物、被せの材料もわずかですが、膨張、収縮を日々くりかえしています。歯とそれら材料との膨張係数の差が大きいものほど、歯と材料との間にあるセメントが破壊され、そのぶん隙間ができやすいということになります。
セラミックスが優れているのは、金属より膨張係数が歯質に近いので、隙間ができにくく、二次的に虫歯になりにくいという理由からです。
では以前の金属の治療はすべてセラミックスにやり替えるべきかというと、それは少し無理があると思います。
痛くなくても金属と歯の境目が少し黒くなっていたり、引っ掛かりがあるなら少しずつやり替えていけばいいのではないでしょうか。最近は保険治療でもセラミックスとプラスティックのハイブリッド素材がかなりの範囲で使用可能となっております。
次回のQは・・・・
「5歳になる子供の上の前歯の間が開いています。成長しても隙間のある歯並びはこのままですか?」です。
院長
2025年2月号
取り外し式の入れ歯が出来上がるまではきちんと通院していた患者さんも入れ歯ができたからもういいや、と来院されなくなる患者さんもいらっしゃいます。しかし、入れ歯は作って終わりではなく出来上がってから何回か「調整」していくことが非常に大切です。
部分入れ歯は、被せ物や詰め物のように歯に固定されている修復物とは違い、付け外しができる装置です。なので、新しい入れ歯が入った直後は、
など、個人差はありますがこういった症状が起こります。
これらの症状は、部分入れ歯が被せ物や詰め物と違って、柔らかい歯ぐきや粘膜の上に乗る床(しょう)とよばれる赤いプラスティックや金属の部分がついていることによるものです。当然その分体積が大きく違和感のあるものになります。被せ物や詰め物は元の歯とほぼ同じ形や大きさをしているので、装着後あまり違和感はありません。
しかし、これらは入れ歯の調整を繰り返し行うことで改善し、使っているうちに体が慣れてそれに合わせた動きをしていくようになります。また、早く入れ歯に慣れるため入れた直後はやわらかい食べ物からゆっくり奥歯で噛む事を意識して徐々にかたいものを噛むようにしましょう。これは歯で噛むというよりも歯ぐきや粘膜で噛むという感覚です。そしてできるだけ長い時間お口に装着することで、上手く咀嚼や発音ができるようになり違和感もなくなっていきます。
入れ歯は食事をするためだけでなく残っているご自身の歯の負担を軽減したり、歯並びの乱れを防止したりする役割もあるので、できるだけ日中は装着するようにしましょう。そして就寝時には痛くなくても入れ歯は外して歯ぐきをしっかりと休めましょう。
また、入れ歯の清掃もしっかり行い、外しているときは変形を避けるために(乾燥すると割れてしまう可能性がある)入れ歯保存液や水の中で保存するようにしましょう。
入れ歯を作ったけれど痛くて合わない…と悩んでいる方も快適に使えるまで調整を受けることで改善しますので、少しでも違和感がある方は歯医者で診てもらうことをおすすめします。入れ歯を作ったのに全然使わないからとほうっておくと、残った歯が移動して次入れようと思った時痛くて全く入らないときもありますので、注意してください。
歯科助手 木下 彩
2025年1月号
歯ブラシだけで歯磨きをしっかりしていれば大丈夫と考えている方は少なくありません。厚労省やライオンの調査によれば、日常的にフロスや歯間ブラシを利用している方は3割程度となっています。しかし、歯ブラシだけでは歯を隅々まで綺麗にすることは不可能です。歯と歯のすき間・歯の裏側の根元まわりは歯ブラシでは磨きづらいポイントになります。今回は、フロスや歯間ブラシを使って歯ブラシでは難しい場所も綺麗にする方法を紹介していきます!
まず磨きにくいポイントとしてコンタクトポイントと言われている場所があります。隣り合った歯同士が接しているところです。こちらの清掃は単純に歯と歯の間にフロスを通していただければ綺麗にできます。フロスがきつくて通しづらい場合は、ワックス付きのフロスでのこぎりを引くようにすると通しやすくなります。
もう1つの磨きにくい場所がそれぞれの歯の根元周りです。フロスをコンタクトポイントに通してからそのまま根元周りまで持っていきます。歯肉の溝に糸をやさしく少しだけ入れてから歯の先端へ繰り返しフロスを動かしてください。歯の根元に沿わせることができているか確認しながら行いましょう。また、根元周りについては歯間ブラシを通すのも効果的です。歯と歯の間に押し込んだ後、歯の根元にブラシの毛先が当たるように傾けてから動かしましょう。
このようにフロス、歯間ブラシは歯ブラシでは綺麗にしにくい場所に効果的ではありますが、誤った使い方をすると歯肉が傷ついたり歯の根が削れたりしてしまいます。特に歯間乳頭という歯と歯の間の三角形の歯肉の盛り上がりに無理に通して傷付けてしまうと歯と歯の間にすき間ができてしまいます。歯間乳頭は非常にデリケートで、一旦下がってしまうとなかなか上がってきません。また歯間ブラシの芯は金属のワイヤーの場合が多いので、無理に通すと歯の根が削れることもあります。できれば使い始めは歯科医院で指導してもらうと誤って使うリスクを下げることができます!また歯間ブラシにはいろいろサイズがあるので、医師、歯科衛生士にどれを使うべきか相談するといいでしょう。既に使用されている方もご自分の使い方が歯や歯肉を傷付けていないかチェックしてもらってくださいね。
次回のQは・・・・
「初めて部分入れ歯を作りました。何回かの通院を経て完成しましたが、違和感があります。使っているうちに慣れるものでしょうか?」です。
受付 中村りこ
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