2005年12月号
こんにちは。
みなさんは、むし歯予防のために何かされていますか?一番多いのは歯みがきだと思います。しかし、歯みがきをしていてもむし歯になる人はいますよね。どうしてでしょうか?それは、どんなに丁寧に磨いても磨き残しがあること、人によって,お口の中にいるむし歯菌の数、唾液の量、唾液の緩衝能(歯が酸に溶かされてむし歯になるが、この酸を中和する力のこと)が違うことなど、いろいろなことが原因でむし歯になりやすい人となりにくい人がいるからです。
次に歯磨き剤についてお話しましょう。ほとんどの方が使用されていると思いますが、ではどういう基準で選んでおられますか? 例えば、「歯を白くしたい」「知覚過敏用」「歯肉炎に効くもの」などさまざまだと思います。ときどき、患者様から、「塩で磨くのはいいんですか?」という質問がよくありますが、塩というのはトゲトゲしているので研磨剤の強いものになり、それで磨くと歯肉を傷つけてしまうのでお勧めしていません。
以前むし歯予防に効果のあるフッ素洗口を紹介させていただきましたが、今回はフッ素入り歯磨き剤についてお話させていただきます。歯みがきは毎日するものですので、フッ素入り歯磨き剤を使用することにより、ご自分で簡単にフッ素を取り入れることができます。今、日本のフッ素入り歯磨き剤は全体の約80%を占めており、ここ10年くらいで急速に増えています。使用量は大人でだいたい歯ブラシの植毛部の長さの半分くらい、子供ではその半分(小豆大)の量を使用し、その後のうがいは1,2回と、できるだけ少なくします。これはできるだけフッ素をお口の中に残しておくためです。
イギリス、オランダ、スウェーデンなどの北欧は、むし歯予防に成果が上がっているのですが、日本との違いは歯磨き剤のフッ素濃度の基準が北欧のほうが日本より高いということです。日本薬事法上では1000ppm以下と決められているフッ素濃度が、北欧では平均1450ppmくらいが基準となっており、2500ppmというものも少なくありません。日本のものと比べると明らかに高いですよね。濃度が高いほうがお口の中に残るフッ素量も多くなり、むし歯予防により効果があるというわけです。
しかし、フッ素を使用していれば絶対にむし歯にならないということではありません。今の歯科医学ではひとつの方法だけで100%むし歯予防はできませんので、毎日の歯みがきはもちろんしっかりしていただき、加えてフッ素入り歯磨き剤を上手に使用することにより、少しでもむし歯に負けない丈夫な歯をつくりましょう!!
<歯科衛生士 山田麻美>
2005年11月号
先日、大阪市立自然史博物館で開催されている恐竜博2005へ行ってきました。この展覧会の一番の目玉は、世界最大かつ最も完全な肉食恐竜ティラノサウルス・「スー」です。この化石は、1990年米国サウスダコタ州で、第一発見者スーザン・ヘンドリクソンにより発見され、彼女の名をとってスーと呼ばれています。
現在は、オークションで10億円で落札したフィールド博物館に実物骨格が展示されており、今回はその全身複製骨格が日本で初公開されています。今日は、歯科医学から見たスーの顎・歯などの特徴をお話します。
以上、会場の解説に少々私の意見を加えて報告しました。 皆様も一度、迫力のある実物をご覧になってはいかがでしょうか。
11月27日(日)まで、
大阪市立自然史博物館ネイチャーホール(TEL.06-6697-6221 地下鉄御堂筋線「長居」下車)にて開催されています。中学生以下無料。月曜休み
<院長>
2005年10月号
皆様、はじめまして。受付の和田と申します。
今秋で受付業務は6年目になりますが、今でも毎日が勉強で、まだまだ知らないことがたくさんあります。
日々「もっともっと知りたい」という気持ちで、患者様のお口の健康に取り組んでいます
前職が企業勤めの私にとって、もうありとあらゆることが初体験・新発見の連続でした。
医学は日進月歩と言われますが、私にとっては「秒進分歩」! このスピードに乗り遅れないように常にアンテナを張り、フレッシュな情報を多くの患者様にお伝えすることも私の大切な役目であると考えています
今回は、私が医療業務に携わるようになってから知ったことのなかで、特に皆様にお伝えしたいことを2つ挙げたいと思います。
1つは「歯も体の一部である」こと。当たり前のことなのですが、以前の私は「首から上の病気と下のとは全然別だ」という勝手な思い込みがありました。ところが、スタッフミーティングや勉強会で、コレステロールの摂りすぎが歯周病の原因になる・歯周病が糖尿病を悪化させるなど、お口の中の健康状態が全身疾患に深く関係していることを知り、とても驚きました。
2つ目は「歯磨きの大切さ」。私が初めて勤務の休憩時間に歯磨きをした時のことです。隣にいた衛生士さんが驚いた様子で「和田さん!!力が強すぎるよ!こんなふうに磨いてみたら?」と教えてくれました。それまでの私の磨き方は、強い力でゴシゴシと泡立て、1分も経たないうちに終えてしまういい加減な方法でした。
今振り返ってみると、何て乱暴で無意味なことをしていたのだろうと悔やむばかりです。そういえば、昔はよく歯茎から出血があり、頻繁に虫歯もできました。虫歯の原因は甘い物を好んで食べるからだとばかり思っていましたが、問題はその後の歯磨きにもありました。歯磨き剤の泡立ちやフレーバーの爽快感によって、「磨いた」と錯覚していたのです。
この出来事をきっかけに私の歯磨き法は随分変わりました。時間に余裕のある昼と夜は「ながら磨き」をします。テレビを見ながら・音楽を聴きながら・お風呂で湯船に浸かりながら、など。これは本当にお勧めの方法で、1本1本じっくり磨くことができ、苦になりません。
また、磨き残しのないように磨く順序も決めています。最後に舌先で歯の内側・外側・噛み合わせの面をなぞり、磨き残しがないかチェックします。
このように毎日の歯磨きを工夫して楽しんでいますが、私どもの患者様の中にはもっとお上手な方がたくさんおられます。「歯磨きの達人」ですね。達人は、ケア製品選びにもこだわりを持ち、定期検診にも必ずいらっしゃいます。こういった予防治療への積極的な取り組みは、歯と口の健康維持にとても大切です。皆様も、達人を目指し、私どもといっしょに歯とお口の健康に取り組んでみませんか?
<受付 和田由起子>
2005年9月号
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中の虫歯菌(ミュータンス菌)はゼロです。では、なぜ虫歯ができるのでしょうか??
虫歯菌(ミュータンス菌)は人の口から口へと感染していきます。中でも母親から乳幼児に感染するケースが多く、生後6ヶ月から3歳ぐらいまでのあいだがピークといわれています。特に生後19~31ヶ月(1才半~2才半)の間は「ミュータンス菌感染の窓」といわれ、最も感染しやすい時期です。
○19~31ヶ月(1才半~2才半)
この時期は離乳期にあたります。赤ちゃんは自己免疫力がまだ発達しておらず、また、母親からもらっていた母乳中の免疫もなくなってしまう時期なのでミュータンス菌に感染しやすくなっています。
赤ちゃんは生後6ヵ月ほどで歯が生え始めます。離乳食を与えるときに赤ちゃん用のスプーンで味見をする習慣がある場合、要注意。お母さんの唾液に混じった虫歯菌が、スプーンを介して赤ちゃんの口にも移ってしまうのです。また口移しで食べさせることはもちろん、愛情表現としてのキスの習慣、お母さんが使ったお箸で食べ物を与えること、コップの回し飲みなども感染の原因としてあげられています。しかし虫歯菌は一回でうつるのではなく、これらの行為を頻回に行うことによって赤ちゃんにうつります。
また、感染時期が早いと虫歯になる確率は高くなります。
感染時期(歳) | 有病率(%) | 平均虫歯数(本) |
---|---|---|
1~2 | 100 | 9.4 |
2~3 | 86 | 7.5 |
3~7 | 83 | 4.6 |
非検出 | 44 | 2.3 |
感染のリスクを低くするには、お母さんが持つ虫歯菌の量を減らすことが重要です。そのためには、お母さん自身がお砂糖を減らす、詰め物をやり直して歯との隙間など虫歯菌の住み着きやすいところをなくす、ブラッシングを丁寧に行う、フッ素を使う、キシリトールを取り入れる、歯科医院で歯のクリーニング(PMTC)をしてもらうなどの方法があります。
虫歯菌の感染を心配するより、菌が増殖しないようなお口の環境を親子でつくることが大切です。
歯科衛生士 正田千尋
2005年8月号
先日、私が校医をしております豊中市立のある小学校で歯科検診を行いました。
全体としては、ほとんどむし歯のない大多数の児童と、むし歯の多い少数の児童という二極化が進んでいる印象を受けました。実際、神戸市の小学生の統計でもむし歯の大半は、わずか2割程度の子供によって占められているそうです。
ところで従来からむし歯予防にはフッ素が有効とされています。
フッ素の利用方法としては、以下の3つがあります。
フッ素洗口とは、低濃度(225ppm)のフッ化ナトリウム溶液による洗口を毎日、または450ppm溶液で2日に1回行うというものです。最近の研究によると、微量のフッ素が長時間口腔内にあるとむし歯予防効果が高まることが明らかにされています。
せっかくフッ素入り歯磨き粉を使っていても歯ブラシが届いていなければフッ素の 効果は発揮できません。しかしフッ素洗口では歯の全ての面にいきわたり、たとえ歯垢が残っている部分でもフッ素が滲みこむので効果が期待できます。
神戸市では平成15年から市立の全保育所でフッ素洗口が行われ、むし歯が減少したとの報告があります。全国的にみますと、園、学校単位でのフッ素洗口実施には温度差があり、残念ながら大阪府で実施されているのは皆無に等しい状態で、フッ素洗口では最低の後進県となっています。
そこで現在のところ、大阪ではフッ素洗口は各個人でするしか方法はありません。
対象年齢は特に4歳から全ての永久歯が生えそろう15歳までと、歯周病による歯肉退縮により歯根面のむし歯が増加する50歳以上となっています。もちろんその間のご年齢の方もご使用になってもかまいません。
水道水がフッ素化されていない日本では、フッ素入り歯磨き粉の使用、医院でのフッ素塗布に加えて、フッ素洗口を行っても過剰摂取になることはありません。また分子量が小さいので、アレルギーの原因となることもありません。安全性は確保されていますので安心してご使用ください。私の小6の息子にも使わせていますが、なんら問題は起こっておりません。
当院でも、フッ素洗口に用いる専用容器と薬剤を販売しております。詳しくはスタッフまたは、HPのお問い合わせでお尋ね下さい。
<院長>
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